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談 話 室

2003/05/26 (月)

マザー・テレサ

桃井 「これがマザー・テレサの出生図ですか?」

岩田 「まあ、マザー・テレサのアセンダントの位置については諸説があって、完全に確証のある出生図ではないんだけど、一般的には蠍座アセンダントという説が多く、K.N.ラオ氏の監修した本でも蠍座アセンダントを使っているので、ここでもそれを採用している。」

桃井 「それじゃあ、アセンダントをラグナとして使うのは注意が必要ですね。」

岩田 「しかし、続研究日誌の中で解説して来た、「救済のヨーガ」の惑星配置は、土星が高揚の星座かムーラトリコーナの星座に位置し、土星の在住する星座から数えて、9番目の星座に木星が位置し、土星に一方的アスペクトをするというのが基本的な定義だから、アセンダントの位置とは関係が無い。
 したがって、これまで続研究日誌で取り上げた聖者方と、マザー・テレサの違いは、「救済のヨーガ」という視点で比較出来ると思うよ。」

桃井 「はい、
 出生図を見ると、土星は減衰の星座で減衰の度数内に位置し、逆行していますから、これは土星が、高揚やムーラトリコーナという強さを獲得する位置にあるという「救済のヨーガ」の定義とは正反対になっています。
 それに、マザー・テレサの土星と木星の相互から見た位置は、6・8室というドシュタナ関係ですから、これも土星と木星の相互から見た位置が、5・9室というトリコーナ関係になるという「救済のヨーガ」の定義とは、やはり正反対になりますね。」

岩田 「桃井君は、「救済のヨーガ」を持つダライラマ14世と同様にノーベル平和賞を受賞し、世界中から敬愛されているマザー・テレサの出生図が、これだけ対照的な惑星配置になっているというのを、どのように解釈すればいいと思う?」

桃井 「これは難しい問題ですね。
 でも、前に岩田先生が人類に対する奉仕やボランティア活動をする人は、6室が良いという特徴があると教えてくれましたけど、マザー・テレサの月から見た6室は乙女座で、その乙女座を支配する水星が高揚の度数内に位置しています。しかも乙女座には、慈悲や慈善を表すスピリチュアルな木星が在住していますから、この出生図からマザー・テレサの偉大な奉仕精神が読み取れると思うんですが、どうでしょうか。」

岩田 「そうだね。桃井君が注目したように、この高揚する水星と木星の在住する6室は、マザー・テレサの特徴を見事に表現している。
 それから、この6室をもう少し詳細に検討すると、木星は月から見て9・12室を支配していて、9室は巡礼の長旅や外国、12室は施しや外国を意味するから、マザー・テレサが遠い諸外国で宗教活動として慈善活動をすることが出ているし、水星・木星の位置する乙女座は、保健衛生を担当する星座だから、これもマザー・テレサの活動内容の特徴をよく表していると言える。」

桃井 「アセンダントが不確定でも月の位置する星座を1室として、これだけマザー・テレサの特徴が明瞭に読めるというのは、インド占星術の素晴らしさを感じますね。」

岩田 「マザー・テレサの場合は、月がラグナとして強く作用する条件を満たしているから、これだけ鮮やかにリーディングが出来たけど、いつでも月のラグナだけで、こんなリーディングが出来る訳ではないんだ。
 マザー・テレサについては、事象と照らし合わせて時刻修正をおこない、続研究日誌で取り上げるつもりだけど、ステップ・アップ講座の方も月一回の開催ペースを守りたいからね。」

桃井 「岩田先生のステップ・アップ講座は、研究員も聞いた事のないノウハウが時々解説されるので、録画を見るのが楽しみですから、どちらも期待してしまいます。」

岩田 「6月はひさしぶりにインド占星術体験講座もやる予定だから、インド占星術に興味を持ったばかりの人は体験講座の方に来て、インド占星術の奥深い世界を体験して欲しいね。」

桃井 「マザー・テレサの「救済のヨーガ」をひっくり返したような惑星配置の解説にはとても興味があるので、続研究日誌の方も忘れないでくださいね。」

岩田 「うーん、確かに『ヴィーパリータ(逆転の)・救済のヨーガ』と言える惑星配置ではある・・・・。」





2003.05.13

カルマの法則について

岩田 「今日は、カルマの法則について話そうか。」

桃井 「そうですね。以前の談話室で、メッセージの紹介をした時に、カルマの法則について、続きの話しをすると約束していますから。」

岩田 「あの時のメッセージに含まれていたテーマは、こう表現できると思うんだ。
 カルマの法則は、幸福な人には自分の幸福を正当化することが出来てよいだろうけど、不幸な人にとっては、自分の不幸は自分が悪いことをやった報いだという、救われない考え方ではないかという反発。
 もう一つは、カルマの法則は自分の行動を制約して、自由な意志で行動することを阻害する、不快な法則であるという反発。
 カルマの法則に対するこの二つの反発だったね。」

桃井 「宗教家と人権運動家の対談で、日本で業と呼ばれるカルマの法則は、生まれによる社会差別を肯定するために使われてきた非科学的な迷信だという非難を読んだことがありますけど、これはなかなか反論しにくい非難だなと思ったことがあります。」

岩田 「そうだね。法則というのは本質的に善悪を超えた抽象的メカニズムだから、深い悪意を持って使えば大きな悪として人々に深い苦しみを与えることも出来る。
 これは物理法則もカルマの法則も同じだね。物理化学の法則を使って核兵器や化学兵器が開発され、多くの苦しみを生じさせた。
 しかし、ある法則が悪用されたから、その法則は悪であると決め付けるのは、詭弁的テクニックを使う討論者が、相手の意見を抹殺するのに愛用する手法なんだ。」

桃井 「カルマの法則は、社会差別を肯定する悪意の正当化に利用することも出来るけど、それはカルマの法則の本質とは関係のないということですね。」

岩田 「カルマの法則で社会差別を理解するには、カルマの法則に関連した深遠な諸法則を知らないと絶対無理だね。浅薄なカルマの法則の理解によって、差別の現状を正当化するために使うのなら、その心の働きによって未来、自分が差別の中で苦しむカルマを、魂に刻み込むことになるということに思い至るべきだね。
 そうでないなら、その人はカルマや業という法則の言葉を使いながら大きな迷妄によって、今生、そして来世においても迷妄の闇に苦しむことになる。」

桃井 「真理の言葉を使うことによって、逆に迷妄に沈んでいくというのは怖い話ですね。」

岩田 「カルマの法則は、輪廻転生の存在だけではなく、諸現象の本質的無常性に関する認識もないと、容易に邪悪な法則に堕落することが可能な、ある意味で危険な法則なんだ。心の成熟していない魂は、我欲によってこの危険な扉を開き、闇に堕ちていきやすいんだね。だから、カルマの法則に対しては、我欲や慢を捨て去って謙虚に向かい合うことが必要だ。

 カルマの法則における諸現象の無常性という正しい認識があれば、一切の努力は必ず未来際において結果を生み、人はいかなる欠点や罪からも解放されていくことが可能であるという、肯定的な思考が生じるだろうね。
 それに、自分より不幸な境遇で苦しんでいる人々に対して、優越感や軽蔑ではなく、慈しみや哀しみの心が生起しなけば、その人は来世、人間以上の高い世界に転生するだけの高い精神性を持っていないことを証明する、哀しい事実を示していると思うんだ。

 ここで、一般的なカルマの法則では語られることの無い、より崇高な輪廻転生のメカニズムについて話そう。この法則を知らないと、このテーマについて、真に正しい見解が得られないからね。

 高貴な魂の中には、生まれてくる時の魂の課題として、意図して卑しいといわれてる境遇に転生してくる場合も多い。卑しい境遇に生まれながら、高貴な魂として人々から崇敬さた聖者方も数多くこの世に登場しているしね。
 しかも、客観的には悲惨といえる境遇にありながら、高貴な精神の輝きを発する人は意外に多いんだ。これは感動すべき、魂の不思議さだ。色々な人の鑑定を受けていると、この人は魂が成長するための課題として、この苦悩を聖なる十字架として背負い、今生は生まれてきたんだなと感じるケースにしばしば出会うんだ。

 しかし、たとえその課題を乗り越えて成長することを、今生の使命として生まれてきたとしても、生まれてから周囲から入れられて来た、多くの現世的な情報によって、その高貴な使命を理解できなくなり、苦しんでいる人も多いと思うんだ。
 東西占星術研究所のインド占星術は、その使命に気付くのを支援する、スピリチュアルな占星術でありたいと思うし、そのような形でインド占星術が日本に普及する一役を担いたいと思っている。」

桃井 「強力な技法が多くて、カルマの法則を根本に成立しているインド占星術は、悪くすると社会差別の肯定に利用される危険もありそうだし、インド占星術がもっと広まってくると、自分の欲望を達成に利用しようとする人も出てくるんでしょうね。」

岩田 「まあ、一般に高度な法則や強力な法則は、誤用や悪用をすれば大きな悪業を積むことが出来るという構造は、精神世界も物理的世界も同じだから、インド占星術のように強力な技法が数多く存在する占いも、同様な危険を持っているだろうね。」

桃井 「高度な法則や技法を学ぶときは、大きな悪にも道が開かれていることに注意する必要があるんですね。
 カルマの法則と自由意志に関するテーマに関しては、どうなんですか?」

岩田 「このテーマも簡単には語れないから、今回はこの辺で終わらせ、また機会を改めて話そう。」

桃井 「はい。それから話は変るんですが、研究日誌に予告したマザーテレサはどうなっているんですかという催促のメッセージが来ています。」

岩田 「マザーテレサは、信頼出来る出生時刻の記録がないので、K.N.ラオ氏が監修したマザーテレサのリーディングが使っているホロスコープがリーディングに使えるか、チャラカさんと検討したんだけど、いろいろ問題があってね。」

桃井 「そうなんですか。」

岩田 「まあ、月をアセンダントとしてリーディングしても興味深いから、談話室で軽く取り上げてもいいね。」

桃井 「楽しみにしています。」

2003/04/17 (木)

グルと弟子の関係を見る技法

岩田 「桃井君、スピリチュアルな相性判断の技法に、グルと弟子の相性を見る方法を見つけたので、少し検証してみよう。

 弟子がグルの救済活動を継いで、その救済を成功させることが出来るかどうかは、グルの10室と弟子の11室を見るんだ。つまりグルの11室の星座に、弟子のラグナが位置していると、グルの使命を表す10室を成功させる役割を果すとリーディングすることが出来る。」

桃井 「11室は10室の事業の成功を表すハウスですけど、それが弟子のホロスコープにまで使えるというのは面白いですね。」

岩田 「それじゃあ、ラーマクリシュナとヴィヴェーカーナンダの関係を見てみよう。ラーマクリシュナは、アセンダント・月・太陽が一つの星座に集まっているから、この検証にはとても良い事例になる。」

桃井 「ヴィヴェーカーナンダは、ラーマクリシュナ・ミッションを設立してラーマクリシュナを全世界に紹介した人ですから、この検証にはぴったりですね。」

岩田 「ほら、ヴィヴェーカーナンダのアセンダントと太陽が射手座に位置しているだろう。射手座はスピリュアルな木星の支配する活動的な星座だから、ヴィヴェーカーナンダの精力的な救済活動をよく表しているね。」

桃井 「本当ですね。でも心を表す月がラーマクリシュナの8室になる乙女座に位置していますよ。」

岩田 「ラーマクリシュナと出会う前のヴィヴェーカーナンダは、ラーム・モーハンのブラーフマ協会に所属していた西洋的教養と思考を身につけていた青年だった。そのためラーマクリシュナと出会ったときから、ラーマクリシュナを敬愛していたけど、その理性的立場を捨てて盲信することがなく、最もラーマクリシュナに言い逆らった弟子とも言えるんだ。

 このヴィヴェーカーナンダのグルを絶対視しない心の働きは、ラーマクリシュナがなくなる直前にも見られるから、行動を表すアセンダントと魂を表す太陽が11室に在住し、心を表す月が9室を失う8室に在住しているというのは、逆にこの技法が十分使えるものであることを示していると思うんだ。

 乙女座は理性的で批判心の強い星座だから、アセンダントと太陽のある射手座と並んで、これも二人の関係を良く表しているといえるね。」

桃井 「これはとっても面白い技法ですね。相性占いもインド占星術になると、とってもスピリチュアルな世界になるんですね。」

岩田 「この技法についてはもう少し検証を続けて、そのうち研究日誌にまとめてみようか? 救済のヨーガのシリーズもまだヴィヴェーカーナンダを取り上げていないしね。」

桃井 「はい、よろしくお願いします。」





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