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談 話 室

2004.05.15

ムフルタ(吉日選定)について

桃井 「岩田先生、東西占星術研究所でもムフルタの研究ってやっているんですか?」

岩田 「占星術をやっていると、吉日選定の仕事はどうしても入ってくるから、もちろん研究はしているよ。」

桃井 「そうですよね。私も結婚式の日取りとか相談されることがあるんで、機会があったら教えてください。」

岩田 「インド占星術は、結婚に関する相性判定と吉日選定に関しては、大変発達した技法があって、インド占星術の研究にも役立つ重要な技法が含まれているから、桃井君にも教えてあげる必要があるね。」

桃井 「よろしく、お願いします。」

岩田 「ムフルタに関して、これまでの経験から言うと、功徳のある人が依頼する吉日選定の場合、希望する選定時期の中で天空図の変化を分析していくと、使いやすい時間に吉祥な天空図を何度も形成する場合が多いんだ。」

桃井 「功徳があるというのは、そういう所にも現れるんですね。」

岩田 「だから、慈しみの心を持って善なる行為を行ない、心を正して邪なる行為を避ける生活を日々心掛けているなら、その人の功徳の力によって、吉日選定や吉方位取りのような開運術は本質的に必要が無くなるということだね。そのような場合、出来たらこの時間を選んでくださいと言うと、ちょうどその時間にやることになっていましたという回答が来ることも多い。

 だから吉日選定依頼で、希望する時期に吉祥な天空図を自然な形で使えないようなら、そのイベントを成功させるための功徳が不足していることを表すんだろうね。」

桃井 「そういう場合は、どうすればいいんですか?」

岩田 「そのイベントをその時期にやるしかないなら、選択可能な天空図が示している吉凶の内容で、自分の受け入れられるものを選んで、その天空図の示す障害や困難に対しては、しっかり対応する心構えを持てばいいと思う。

 心の成熟や魂の深化という観点から言えば、自分が出会う障害や困難を、心正しく賢明な方法で乗り越える経験は、幸運に恵まれた境遇で、怠惰にも傲慢にもならず心正しく生きる経験と同等か、それ以上に素晴らしい経験だと思う。

 そして、自分の出会う障害や困難の特徴があらかじめ予測出来るだけでも、そうでない人に比べて正しい対応をするのに大変有利であることは言うまでもない。

 まあ、吉日選定の技法もそういう風に使うなら、徳減らしの開運術を超えて、カルマの法則に対する信が深まり、人生の叡智が増大する崇高なアートになるだろうね。」

桃井 「ムフルタという吉日選定の技法も、スピリチュアル・アストロロジーとして使えるんですね。」

岩田 「功徳があって、しかも真の宗教性も持っている人は、吉日選定の天空図の中にイベントの成就の約束と同時に、その人にふさわしい心の試練や苦難も予告している場合がある。
 そういうケースに出会うと、やはりインド占星術というのは実占的に優れた技法が豊富なだけで無く、精神的・宗教的にも深みのある占星術なんだなと感心してしまう。

 まあ、完全に吉祥な天空図を吉日選定で求めても、凶星や凶ハウスが存在しない天空図なんて存在しないんだから、どんなに吉祥な天空図であっても、それなりの試練や課題は存在している。

 したがって、ムフルタという吉日を選定する占星技法も、苦難を避けて御都合主義的な幸福を獲得するために使うのではなく、吉祥な天空図の中においても予告されている、試練や課題を読み取り、心を成熟させ人生に対する叡智を深めていくという積極的・肯定的な生き方のために使ってほしいね。」

桃井 「それが岩田先生の理想とする、『崇高なアートとしての占星術』のスタンスということですね。」

2004.04.27

5室の象意

桃井 「岩田先生、トリコーナ・ハウスと法則のハウスの第5室が、子供や出産のハウスになるのはどうしてですか?」

岩田 「突然の質問だけど、ある意味でハウスの象意について、単なる丸暗記しないで、本質的なものを理解しようと考えているのが判る質問だね。

 5室は恋愛や娯楽のハウスという側面と、学問や知性のハウスの側面、さらに子供や出産のハウスという側面があるけど、どうしてこの三つが同じ第5室なんだろうと考えるのは、東西占星術研究所の研究員として必要な思考パターンではあるね。」

桃井 「たしかに、恋愛と娯楽が同じハウス、学問と知性が同じハウスというのは分りやすいんですけど、恋愛、娯楽、学問、知性が同じハウスというのも、『何でかな?』と思いますね。」

岩田 「まあ、談話室だから最初の質問に話題を戻して、シンプルに話を進めよう。桃井君は5室が子供や出産のハウスである理由について、何か考えついた事はあるのかな?」

桃井 「ラオ氏の本を読むと、5室は過去生の功徳を表すハウスで、子供というのは、過去生の功徳によって与えられるものだと書いてあるんですけど、『そうなのかなあ・・・。』という感じです。」

岩田 「その解釈は、インドの文化を生きている人だったら実感出来ても、現代の日本人はピンとこないかな。でも死語に近くなっているけど、日本にも『子宝』という言葉があるんだから、1〜2世代前くらいの日本人なら、かなりの人が納得できたと思う。」

桃井 「たしかに実際に親になった人は、今でも実感できるのかもしれませんねぇ・・・。」

岩田 「まあ、インド占星術でも西洋占星術でも、5室は子供や出産のハウスで、当然のことながら妊娠のハウスにもなるんだね。妊娠は英語では、コンセプション(conception )になるけど、コンセプションには妊娠や胎児という意味以外にも、『心に抱くこと』という共通性がある、想像・着想・概念・考え、などの意味があるんだね。

 5室の学問は、出来あがっている知識を入れるという意味の学問ではなく、自分の学説という新しい知識を生み出すという意味の強い学問なんだ。したがって5室の色々な象意は、『自分が生み出すもの』というより基本的な象意に還元出来るとも言える。」

桃井 「そういえば、コンセプション(conception )の名詞形、コンセプト(concept )は、もうカタカナの日本語になってますね。

 いまの説明は、岩田先生が普段言っている、『4室も5室も教育のハウスだけど、教育の内容が違う』というお話とリンクしていくと、なるほどと納得するものがあります。」

岩田 「教育には、外部から知識を入れるという教育もあるけど、エデュケーション(education )が、dure 、つまり導き出すという語源から来ているように、自分の内側から知識を導き出すような訓練が、教育の最終的な段階になると思うんだ。

 つまり4室の、既存の知識を検討することなく、正しいものとして入れるという教育をベースとして、5室の自分の内側からオリジナリティーのある知識を生み出す訓練、つまり大学などの高等教育に入っていくというのが、教育のプロセスだと思う。

 もっとも日本の大学教育はいまだに明治以来の、4室的教育の要素が強いんだけどね。」

桃井 「今回の談話室で、学問と知性、子供と出産の関連が、かなりすっきりしました。でもそこに恋愛と娯楽がどう関連していくのかは、まだはっきり見えませんね。」

岩田 「それについては、もうすこし自分で考えてごらん。桃井君の研究員としてのトレーニングになるから。」

桃井 「はい、私も5室のエデュケーションを鍛えてみます。」



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