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談 話 室

2005/11/11 (金)

研究ノートの余白から bQ (アメイジング・グレイスに導かれて)

 まだテレビを日常的に見るという習慣があったころは、まだアイドル歌手だった本田美奈子。

 インターネットで知った最近の彼女は、ミュージカルで成功し、クラシックの楽曲に全編日本語の詩を編みこみ、新しいクラシックの世界を切り拓き、これからの活動に希望と熱意の溢れていたとのこと。

 これから多くの活躍が期待され、本人もこれからの活動に明確なビジョンと熱意を持っているアーティストが夭折するのは、その活動を追いかけているファンにとって、大きな衝撃になる。

 学生時代に、ファンタジー&SFのマイナー分野で活躍していたマンガ家、花郁悠紀子。1980年12月12日に、26才だった彼女が、やはりがんとの闘病で亡くなった時の衝撃を思い出す。

 下宿を訪れ、「花郁悠紀子逝きぬっ!」と言ったきり絶句して、涙ぐむ友人。そのような光景が、今回亡くなった彼女のファンの間でも、また再現されているのだろうか・・・。

 その頃の記憶を思い起こすと、この話題には気が重く、HPで取り上げる予定はなかったのだけど、

10月19日には、病床で選曲したというミニアルバム「アメイジング・グレイス」をリリース。同封の直筆メッセージで「私の歌が皆さんに、歌の素晴らしさを伝える事が出来るよう(中略)これからも歌い続けたいと思います」と思いをつづった。

という記事を読み、直観的に『2005年11月6日午前4時38分(東京都内)』のホロスコープを作ってみる。

 アセンダントはネイタル・チャートと同じ天秤座で、自分自身を表す第1室と、音楽芸能の第3室で金星と木星の星座交換。第3室に在住する金星は、天職を表す第10室の支配星である月とコンジャンクション。

 ホロスコープでの月は、その人の思いがあるところを示している。

 『本当に元気になっています。絶対またステージに立って、新しい命でたくさんの方に希望と勇気を与える歌を歌いたい』という、8月のテレビでファンに送ったメッセージに関する記事が思い出される。

 これからも歌手としてやりたいことが、まだいっぱいあったのだと思うと、胸がつまるような思いがする。

 親愛と信仰の第4室、そして愛と芸術の第5室を支配するラージャ・ヨーガ・カラカの土星は、天職の第10室に在住。最近の活動や、最後のミニアルバムにふさわしい第10室となっている。

 ホロスコープからも、充実した活動がうかがわれるだけに、その夭折はインパクトが大きいのだろう。

 そして意味深く象徴的なのは、第12室に在住するケートゥ。この水星の支配する星座に在住するケートゥには、第4室と第5室を支配する土星が3番目のアスペクト。これは精神性・霊性を表す、典型的で完全な惑星配置となっている。

 不思議なめぐり合わせで記事を書くことになった、ヨハネ・パウロ2世の亡くなられた時のホロスコープも、天秤座がアセンダントで、第12室の乙女座にケートゥが在住。

 そしてケートゥは木星とコンジャンクションし、こちらも精神性・霊性を表す典型的で完全な惑星配置となっている。

 あまりによく似ている、この二つの第12室の惑星配置は、ヨハネ・パウロ2世の時からのシンクロニシティ現象が尾を引いて、直観的にホロスコープを作らせたのだろうか?

 それが正しいかどうかは検証不可能なのだけど、インド占星術のホロスコープ・リーディングには、第12室の惑星配置を使って、死後行く世界の特徴を読み取ろうとすることがある。

 それでは、今生の生命を終えた瞬間のホロスコープで、第12室は何を意味するのだろうか。

 しかし今は、ささやかな祈りを捧げよう。

 彼女の魂が、死後49日間とも言われる中間の生存、とりわけシパ・バルドゥとチベット密教では呼ばれる難関の時期を、彼女と縁のある高い世界の存在によって導かれ、魂の成熟を進めるに最善の生命体として転生出来ますようにと。

 そしてその時には、病床で選択した最後のミニアルバムの表題となった「アメイジング・グレイス」もまた、その守護と導きの一助となってくれるのだろうか?

Amazing Grace

Amazing grace, how sweet the sound
That saved a wretch like me
I once was lost, but now am found
Was blind, but now I see.

'Twas grace that taught my heart to fear
And grace my fears relieved
How precious did that grace appear
The hour I first believed

Through many dangers, toils, and snares
I have already come
'Tis grace hath brought me safe thus far
And grace will lead me home

The Lord has promised good to me,
His Word my hope secures;
He will my shield and portion be,
As long as life endures.

Yea, when this flesh and heart shall fail,
And mortal life shall cease,
I shall possess, within the veil,
A life of joy and peace.

The world shall soon to ruin go,
The sun refuse to shine;
But God, who called me here below,
Shall be forever mine.

When we've been there ten thousand years
Bright shining as the sun
We've no less days to sing God's praise
Than when we first begun





2005/10/26 (水)

地球はどこに?

桃井 「岩田先生、ホロスコープ上に地球という惑星を表示するとしたら、それは太陽から180度の位置になるって、西洋占星術の本を読んでいたら書いてあったんですけど。

 でも、岩田先生には以前の談話室で、地球という惑星をホロスコープ上に探すなら、ICがそれに対応するって教えていただいたんですが、こういう見方もあるんですか?」

岩田 「太陽の位置から見て、地球の在住する12星座の位置を考えるなら、ホロスコープ上での太陽の黄道12星座からほぼ180度の度数になるは、そのとおりだと思う。

 しかし『地球という惑星を表示するとしたら、それは太陽から180度の位置になる』という考え方には、ホロスコープの理論構造に関しての理解に混乱があるんじゃないかな。

 つまりインド占星術でも西洋占星術でも、ホロスコープというのは、地球上のある1地点から見た天文学的な3次元空間のデータを、1次元空間に投影したものだよね。」

桃井 「ホロスコープは平面に描かれていますから、1次元空間ではなくて2次元空間になりませんか?」

岩田 「ホロスコープは、紙や画面のような2次元空間に描かれているけど、その本質的なデータは黄道12星座における度数だから、一つの数値でその位置を指定出来る。これは明らかに1次元の特徴だ。

 そして黄道12星座は360度進行すると最初の度数に戻るという、閉じた1次元の数空間になっているから、これに幾何学的なイメージを与えれば、円という2次元的な図形では無くって、円周という1次元的な閉じた曲線ということになる。」

桃井 「説明を聞くと、確かにそのとおりですね。」

岩田 「したがってホロスコープについて考える場合は、宇宙空間の天体位置という3次元空間的なデータを、地球上のある1地点から見た黄道12星座という、1次元空間の位置データとして非可逆的に圧縮した特殊なグラフだという認識を失わないことが必要だ。

 この認識があれば、通常のホロスコープの中に『地球という惑星を表示するとしたら、それは太陽から180度の位置になる』という考え方で、太陽の位置から180度の点に『+』や『○の中に+』という地球の記号を書き込むのは、ホロスコープに内在する座標の概念を無視していることは分かるよね。

 ましてこの地球記号に対して、他の天体からのアスペクトなんかを取ったりしたら、完全に間違いだらけの占星術という世界に入ってしまうことになる。」

桃井 「それは確かに、そのとおりでしょうね。そうすると、ホロスコープにおける地球の位置というのは、やっぱりICになるんでしょうか?」

岩田 「ところが、『地球という惑星を表示するとしたら、それは太陽から180度の位置になる』という考え方で、ホロスコープにおける地球の位置を考えることは、まったく無意味なことではないんだ。

 『地球という惑星を表示するとしたら、それは太陽から180度の位置になる』という考え方がおかしいのは、通常のホロスコープに太陽から見た地球の位置を書き込もうとするからで、太陽を座標の原点としたホロスコープというものを用意すれば、それはそれで興味深いホロスコープ・リーディングが可能になる。」

桃井 「そういうホロスコープの考え方もあるんですね。」

岩田 「これは、通常のホロスコープが地球中心という意味を持つジオセントリック・チャートと呼ばれるのに対して、太陽中心という意味のヘリオセントリック・チャートと呼ばれるホロスコープが存在する。

 これは高機能な西洋占星術のソフトではサポートされている場合が多いけど、ヘリオセントリック・チャートのホロスコープ・リーディングに関しては、ほとんど未開発といっていいくらいのノウハウしかないんじゃないかな。」

桃井 「占星術には、いろいろなホロスコープが存在するんですね。」

岩田 「深遠な叡智であった占星術も、これから学問的な発展をして、21世紀には『術』と『学』という両面を兼ね備えた学術分野として展開していくためには、既存の技法が理論的に深まり、多くの新しい技法が開発される必要があると思う。

 ヘリオセントリック・チャートも、そういう意味でこれから研究されていくホロスコープになるだろうね。

 それからICをホロスコープにおける地球の位置とする考え方についても、地球上のある1地点からみた地球の中心位置が、黄道12星座のどの度数に位置するかをもって、ホロスコープにおける地球の位置表示と考えるなら、その度数には誤差が生じている。

 だからICの位置というのは、ホロスコープにおけるおおよその地球の位置の目安となると考えるのが、より正確な理解になる。」

桃井 「そうする将来的には、ICの近くに地球の記号を表示するホロスコープが一般的になる可能性もありますね。」

岩田 「地球を使ったホロスコープ・リーディングのノウハウが開発され、それが魅力的な技法であるならば、そうなっていくだろうね。」

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