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有名人検証 ダライ・ラマ14世

●土星と木星の特別な配置

桃井「岩田先生、前回のアマチとラーマクリシュナのリーディング、ありがとうございました。あの土星と木星の配置って、他の聖者にもあるんですか?」

岩田「チベット仏教の総帥、ダライラマ十四世のチャートを見てごらん。
 ほら、高揚の星座ではないけど、ムーラトリーナの水瓶座に土星は在住して、やはり木星から5番目の一方的アスペクトを受けている。」

ダライラマチャート
ダライ・ラマ14世

桃井「あっ、ほんとうだ。ダライラマの場合も、強くなる星座に位置する土星が、木星から5番目の一方的アスペクトを受けているという点では、アマチやラーマクリシュナと同じ配置ですね。
 でも、土星は5室の支配星でもあるけど、6室を支配して6室に在住しているし、木星は4室と7室を支配しているから、吉星としての力は弱っていますよね。」

岩田「そうだね。乙女座アセンダントにとっての木星は機能的凶星として扱うのが一般的なリーディングだから、それは正しいね。
 桃井くんはダライラマ十四世についてどのくらい知っているかな?」

桃井「観音菩薩の化身としてチベット人の崇敬を受けていること。あとはノーベル平和賞を受賞したことくらいかなあ・・・。」

岩田「ダライラマ十四世は、チベットの一寒村に生まれたけど、ダライラマ十三世の生まれ変わりとして認められ、チベット仏教ゲールク派の総帥にしてチベット国王という、幼くしてチベットの聖俗両方の長としてチベットに君臨することになった。
 しかし青年期には、中国軍のチベット侵入により祖国を棄てて亡命し、インドのダラムサラに亡命政府を樹立して、チベットの政治的独立とチベット文化の抹殺政策から逃れてくるチベット人の受け入れに、苦闘するという苦難と激動の人生を経験している。
 その悲劇は当然、出生図にも反映しているはずだから、単純に良いばっかりのチャートではないはずだ。」

桃井「そうですね。生来的凶星の火星が、凶ハウスの3室とドシュタナ・ハウスの8室を支配すると、より狂暴な生来的・機能的な凶星になるから、この3室と8室を支配している火星が、1室に入っているだけでも大変だなと思います。」

岩田「確かに1室は生誕の地、居住地、生計の意味や、高い地位や名声という意味もあるから、軍隊の侵入によって国を失った君主という読み取りが出来る。
 しかし火星は1室のアセンダントだけでなく、4室・7室・8室も傷つけている。4室にはラーフが在住し、12室を支配する太陽が10室から4室にアスペクトしていることも含め、ダライラマが祖国を失ったのは、この四室の傷つきに出ているというリーディングをする占星術家も多い。
 確かに4室は、母親や身近で親愛な人々、住居や国土を意味して、火星は軍隊や専制国家を表すから、専制国家の武力侵略による母国の喪失というのは、容易に読み取れるね。」

桃井「中国は専制国家ですか?」

岩田「中医学や気功も研究しているから、中国文化は尊敬しているし尊敬する中国人も多い。でも文化大革命当時の中国は、自国の伝統文化すら弾圧して、偉大な医師であり、武術家であり、気功家であった周潜川を、反革命の罪で投獄し獄中で病死させているんだ。
 今の中国は、穏健で現実的な方向に移っていて、周潜川も党大会で名誉回復がされ、チベットでの武力行も控えめになったけど、中国のチベット政策はいまでも人道的に許されない内容だと思うよ。」

桃井「そうなんですか、その辺のことは日本ではあまり知られていませんよね。
 それから、木星が二つのケンドラ・ハウスを支配して、しかも逆行しているのは、かなり吉星として保護する力を失っていますよね。これもチャート全体が幸運さを失う原因になっていると思うんですけど、宗教家にとって、この木星の傷つきの影響は大きいんじゃないんですか?」

岩田「確かに木星はこのケンドラ支配によって、相当に吉意を失っているので、機能的凶星として扱ってもいいくらいだね。しかし木星が吉意を失う条件と、木星の意味する高い精神性や道徳性を失う条件は、違うんだということに注意する必要があるね。」

桃井「はい。木星がその道徳性を失う条件って、ラオ先生の本に出ていた、グルチャンダラ・ヨーガですね。あれは、木星とケートゥのコンジャンクションに火星がアスペクトしているという条件でしたけど。」

岩田「一般的にグルチャンダラ・ヨーガというと、木星とラーフのコンジャンクションを意味するんだけど、ラオ氏は凶星化したケートゥと木星のコンジャンクションも重視しているようで、グルチャンダラ・ヨーガの例としてネール首相のチャートを載せているね。たぶんラオ氏はインドの伝統的文化を損なう政策を実施したネール首相が許せないんだろうなあ。

 グルチャンダラ・ヨーガは、木星が伝統的文化や宗教という本来の役割を見失い、低俗なレベルに堕するとラオ氏はいっているけど、スピリチュアル・アストロロジーの中でも高度で秘儀的なリーディングになると、木星とラーフのコンジャンクションは、重要な意味を持つ場合もあるんだ。
 でも一般的には、精神的・宗教的実践において熱意はあるんだけど、ちょっと風変わりで強引な傾向がみられる人が多いのも事実だね。」

桃井「ラーフが1室にある人って、よく知るととても個性的ですよね。」

岩田「そうだね、でもそろそろダライラマ十四世に話を戻そうか。
  強い土星が、土星から数えて9番目のハウスに在住する木星からの一方的アスペクトを受けているという意味では、アマチやラーマクリシュナと同じ惑星配置といえるけど、ケンドラ・ハウスのダブル支配による木星の機能的凶星化や土星のドシュタナ・ハウス支配といった特徴は、アマチやラーマクリシュナに比べ、苦難の多い人生を歩むことを表しているよね。
  結論としては、土星が強い状態で、土星から数えて9番目のハウスから、木星の一方的アスペクトを受けているという惑星配置は、聖者の中でも救済者が持つ特徴的惑星配置といえるんじゃないかな。」

桃井「この惑星配置は、救済のヨーガと名付けていいかもしれませんね。」

岩田「もうすこし研究して内容が深まるようなら、そう名付けようか。」

桃井「はい。楽しみにしています。」

岩田「じゃあ次回の桃井君との研究日誌は、アマチやラーマクリシュナと同じく、天秤座土星に双子座から木星がアスペクトしている著名な聖者をとりあげよう。」

桃井「えっ、誰ですか?」

岩田「それは次回を楽しみにね・・・・。」

桃井「わかりました。」

●追記

茶羅加「先生、メールの中にダライラマの出生時間が違うんじゃないんですかっていう質問がきていますよ。英文のホームページに、ダライラマ十四世の出生時刻と西洋占星術によるホロスコープが記載されてるんですが、ざっと読んだ限りではこっちの出生時刻のほうが信頼性が高そうです。」

ダライラマチャート2

Jul 6,1935 04:38:00 Tengster Village

岩田「そうか。それじゃあチャラカさん、その出生時刻で出生図を出してくれるかな。」

茶羅加「はい、これです。新しい出生図ではアセンダントが乙女座から双子座に移動しますね。」

岩田「うーん、この出生図でも、木星は二重にケンドラ・ハウスを支配して凶星化しているし、火星も6室と11室を支配して二重に凶星化して四室に在住しているから、4室は火星によって傷ついてるね。
 火星の1・8室に対する影響が消え、そのかわりに10・11室へ影響するけど、1室も10室も社会的地位を見るハウスだから、この出生時刻でリーディングしてもほぼ同じ結論になってしまうね。有名人の検証では、出生時間が違っているとリーディングの途中で違和感を感じるんだけど、このケースで時刻の違いにすぐ気付くのは難しいね。」

茶羅加「タイガーウッズのリーディングをやったときは、リーディングの途中でこれは出生時刻が違うということで、いろいろ調べ、結局は3番目に出てきた出生時刻のリーディングで納得しましたね。」

岩田「有名人のチャートは個性的でパワフルだから、アセンダントが違うと上手くリーディング出来ないんだけど、ダライラマ十四世のチャートでは、偶然乙女座から双子座というアセンダントの移動なので、ほとんど同じ結論になってしまったね。
 だからどちらの出生時刻が正しいかは、今の段階では確定できないので、ダシャーとイベントを照らし合わせて時刻修正の作業に入るしかないけど、今回のメイン・テーマには影響は少ないね。」

茶羅加「新しいアセンダントの特徴はどうなるんですか?」

岩田「新しいチャートでは、9室の支配星の土星が9室在住になるし、木星も5室に在住することにから、こちらの方がチベット仏教の総帥としては素直なリーディングが出来るし、土星がドシュタナ&アルタ・ハウスの六室からドシュタナ&モクシャ・ハウスの8室の支配に変わるのも、スピリチュアル的に深い意味を読み取ることが出来るね。」

茶羅加「そうですね。自室に在住する支配星はそのハウスのテーマを良くしますし、その他の面でもやっぱり新しいチャートが正しそうですね。」

岩田「そうだね。まあ、今回の質問には東西の読者のレベルの高さが実感出来るね。そのうち機会があったら、このテーマでコンテンツをアップしたいね。チャラカさんやらない?」

茶羅加「そうですねぇ・・・。最近、社会占星術にはまってますから、宗教と政治のトップの運勢が国の興亡にどう関連してるかって興味ありますよね。」

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