研究日誌有名人検証 マーガレット・サッチャー●続・ラーフの吉星化する条件岩田「桃井君、久しぶりに研究日誌をやろうと思うんだけど、前回のシュテフィ・グラフの印象はどうだった?」
桃井「本来は生来的な凶星であるラーフが、強力に吉星化する条件をほぼ完璧に満たしているため、18年間続くラーフのマハーダシャーに最強のテニス・プレイヤーとして君臨し、それに続く木星のマハーダシャーに入った直後から、その地位を失っていくグラフの人生は、ヴィムショタリ・ダシャーという技法が、強力に作用することを証明する鮮やかな実例ですね。」 岩田「そうだね、ラーフは実在する天体ではなく、太陽の軌道と月の軌道が交差する宇宙空間のポイントだし、ヴィムショタリ・ダシャーも実際の天体の運行とはまったく関係なく変化していく運命サイクルだ。 桃井「前回の研究日誌では、かなり詳細に法則を解説してもらいましたけど、グラフの例で、ラーフやケートゥが吉星化する条件はほぼ網羅したと考えていいんですか?」 岩田「それには、YES とも NO とも言えるね。実は今回やろうと思っているマーガレット・サッチャーの出生図を検討することによって、その回答を得ることが出来るんだ。」 桃井「マーガレット・サッチャーって、英国の首相だった人ですね。」 岩田「マーガレット・サッチャーは、保守党初の女性党首で、初の女性首相だ。それだけではなく、保守党の党首として3回の総選挙に勝利し、11年間の英国統治を維持した空前の長期政権だった。 下のホロスコープが、そのマーガレット・サッチャーのラーシ・チャートとナヴァームシャ・チャートだけと、桃井君はこのホロスコープをどう見るかな?」
桃井「シュテフィ・グラフと同じく、マーガレット・サッチャーも職業や社会活動を表す10室にラーフが在住していますが、ラーフの在住する星座は月の支配する蟹座ですから、ラーフが吉星化する木星や水星の支配する星座ではありませんね。 岩田「下のグラフが示しているように、惑星の強さを表すシャドバラを見ても、月は1.0で土星は1.2だから、際立って強いというには程遠い。 桃井「これは、驚くべき一致ですね。」 岩田「したがって、マーガレット・サッチャーの10室ラーフは、シュテフィ・グラフのラーフと同じくらい強力な吉星であるということになる。」
桃井「それじゃあ、もう一度ホロスコープの検討をします。」 岩田「再検討のポイントは、ラーフに唯一アスペクトをしている土星の分析だね。」 桃井「はい、土星はケンドラ・ハウスの4室とトリコーナ・ハウスの5室を支配するラージャ・ヨーガ・カラカですから、生来的には凶星ですが強力な機能的吉星になっています。しかもケンドラ&トリコーナ・ハウスの1室に在住していますからさらに強力な吉星化をしています。 しかも土星が高揚する天秤座で、高揚の度数である20°から1°以内に在住していますから、これは稀に見る強力な土星ですね。」
岩田「この土星の惑星位置は、桃井君と初めてやった研究日誌で取り上げた、アマチとまったく同じタイプの強力なシャシャ・ヨーガになっている。」 桃井「そうですね。それから土星と天秤座で同室している水星は、9室と12室を支配する生来的にも機能的にも吉星ですから、土星と良質なラージャ・ヨーガをケンドラ&トリコーナ・ハウスで形成することになり、土星はさらに強力な吉星化をすることになります。」 岩田「水星の強さを表すシャドバラバラは1.4と最も高い数値を示しているのもメリットの一つだね。」 桃井「ラーフの在住する蟹座を支配する月は獅子座に在住しています。これはラーフにとって、月が西洋占星術でいうディスポジターになっているということですね。その月に、強力な生来的吉星である木星から9番目のアスペクトを受けていて、しかも木星はムーラトリコーナの星座である射手座に位置しています。 岩田「月を1室として見ると、5室と8室を支配するから、波乱含みではあるが一応吉星化の要素に数えてもいいんじゃないかな。」
桃井「こうして見ると、天体としては実体のないラーフは、アスペクトする惑星や在住する星座の支配星の状態に強く影響されるという、最も基本的な原則を丁寧に適用すれば、マーガレット・サッチャーのラーフが、超強力に吉星化した土星のパワーを吸収して、強く吉星化しているのがわかりますね。」 岩田「マーガレット・サッチャーの人生は、超強力な土星のマハーダシャーを生かし損ねているけど、そのパワーを吸収したラーフ期の18年間が、人生のベスト・ポジションに来ているため、歴史に残る英国首相としての実績を残すことが出来たんだろうね。」 桃井「注目すべきポイントで、何か見逃しているものがまだありますか?」 岩田「東西占星術研究所が深い検証をするレベルから見れば、これで全体の3割くらいだと思うけど、ラーシ・チャートをメインに使った検証としては十分過ぎるくらいだと思う。でも、ナヴァームシャ・チャートの水星が、ラーシ・チャートと同じ天秤座に位置しているから、土星とラージャ・ヨーガを形成してる水星がヴァルゴッタマの強さを獲得しているのは、かなり重要度の高い言い残しだと思うよ。」 桃井「はい、確かにナヴァームシャ・チャートについては、まったく触れずに終わっていました。でもナヴァームシャ・チャートの天秤座は減衰の星座に位置していますね。」 岩田「まあ、複数の分割図やダシャーを複合的に検討するのは、ステップアップ講座のレベルだから、ここでのナヴァームシャ・チャートはヴァルゴッタマのチェックに使うだけでいいんじゃないかな。」 桃井「そうですね、今回の内容だけでも、入門レベルとしてもかなり豊富だと思います。」 岩田「本当は次にアシタカヴァルガ・トランジットで、このラーフ期をクロス・チェックしようと思っていたんだけど、今回はこの辺で止めて、マーガレット・サッチャーの研究日誌も第2回をやろうか。 桃井「はい、私ももう少し検証してみます。」
|
|