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開 運 術

開運術第四課 マントラとは何か

 トランジットが示す天空の惑星配置は、誤った理論や世俗的な執着を意味するラーフが、高度な精神性や宗教性を意味する木星から遠ざかり、木星は最高星位の度数に向かって近づいているので、木星の意味する崇高で深遠な法則(ダルマ)が多くの人に明かされる時が来ているようです。

 インド占星術で処方される開運術の技法としては、宝石・ヤギャ・マントラ・ヤントラ・ムドラーなどがありますが、今回はヤギャよりは一般的に知られているものの、まだその本質的・基本的な意味合いについては、ヤギャと同様にあまり知られていないマントラについて紹介します。

●マントラとは何か

 マントラの起源は、ヒンドゥー教の聖典である「リグ・ヴェーダ」や「アタルヴァ・ヴェーダ」に見られる、バラモンの祭儀に用いられた呪文です。「マントラ」のサンスクリット語における本来の意味は、「マン(考える)+トラ(道具・用具)」=「マントラ(考える道具)」です。それが聖なる詩句や賛歌を意味するようになり、やがて神秘的な句をさすようになりました。したがってマントラには、意味のとれない語による神秘的な句、特定の意義をもつ語からなる聖句、両者の混合した句、という三種類があります。

●意味のとれない語を使う理由

  開運術第三課でブラフマヤジュニャの一つとして紹介した、「慈しみ」のような短い経典も暗記して繰り返し唱えれば、マントラの修行と同様の効果も得られます。それは「慈しみ」のような短い経典の詠唱は、長めの聖句を使ったマントラ修行と言ってもいいからです。したがってマントラを他の修行と区別する独自性は、意味のとれない語による神秘的な句によるマントラにおいて表れます。

 意味のないマントラは、その無意味性のために理性的な表層意識に引っ掛かることなく、深層意識に到達することが出来るという特徴があります。開運術におけるマントラの重要性は、この深層意識に入っていくスピードにあります。つまり表層意識をほっておいて、ダイレクトに深層意識にアプローチするため、結果が出るのが早いのです。そして、このマントラ修行の結果の速さは、そのまま適切な指導のないマントラ修行の危険も意味します。

●深層意識の開運術における重要性

 カルマとは、過去と過去世においてなした身・口・意の行為の結果が、個人のレベルを超えた深い深層意識に蓄積されたものを言います。しかし私達は無始とも言える遠い過去から、何千生何億生という輪廻転生を繰り返してきており、膨大な身・口・意の行為の結果を蓄積してきています。その膨大なデータの中から、直前の過去世になした行為のカルマが中心となって、今生の人生の幸福と不幸を決定していくのです。
 したがって、特定のマントラによって深層意識の特定の領域にアプローチできるなら、そのはカルマの現象化をある程度コントロールすることが可能になります。

●間違ったマントラ修行の恐怖

  深層心理に関する研究結果は、深層意識が表層意識に比較すると何百倍・何千倍という能力の高さ・エネルギーの強さ・意識の広がりがあることを示しています。そのため深層意識にアプローチすることが可能になると、表層意識に比べ何百倍もの思念の強さを持つ深層意識で願望を思念することによって、この物質的な現象の世界を動かすことが出来るようになります。

 これが世間で願望成就の秘法として喧伝されている技法の根本的なメカニズムです。しかしこれらの技法は、キャッシュカードの作り方を教えるようなもので、願望が現象化した分、確実に深層意識にある功徳のデータという預金の残高は減少するのだという、厳正なるカルマの法則を教えることがありません。

 そのため多くの人がその技法に酔いしれ、心を汚し、功徳を使い果たした結果、残った悪業による苦しみだけの人生を送ることになってしまうようです。また強力な深層意識をコントロール出来なくなり、精神に異常を来たすケースも少なくありません。

●マントラは波動のクオリティがポイント

  ヤギャ・マントラ・ヤントラなどは本質的には多くの共通した内容を持っています。しかしそれらの中から、マントラを他の技法と区別する要点は、マントラが発する音の波動が持っているクオリティの重要性にあります。特に意味のとれない語による神秘的なマントラは、純粋に音の波動だけが意味を持つと言えるでしょう。

 マントラを唱える声の波動は、物質的現象の世界から深層意識の世界に影響をあたえることが可能です。また同じマントラを唱えても、声の波動のクオリティによって、影響を及ぼす深層意識の領域は大きく異なります。
 それゆえにマントラは、霊的な指導者であるグル(導師)によって、口頭伝授される必要があると言われているのです。すなわち、グルの唱えるマントラの音の波動を受け取り、その波動をマントラを唱えて再現することが、マントラ修行の目的であるわけです。

 インドの修行者がグル探しに長い年月を費やすのは、聖典からは得ることの出来ない、直接的な霊的波動を伝授されるイニシエーションの重要性を知っているからでしょう。

●音自体が持つ特性

 しかし音声学的な音(おん)は、それ自体が精神世界・霊的世界における種々の特性をもっています。そして微細な人体の構成要素であるチャクラは、マントラの発する微細な波動に感応します。したがって微細な人体を構成する主要な七つのチャクラは、それぞれに対応した音が割り当てられています。

 この辺のことについては、日本で「魂の科学(スワミ・ヨーゲ・シヴァラ・ナンダ)」という題名で翻訳されている、「 SCIENCE OF SOUL ( Shri Yogeshwaranand Parmahans ) 」に詳細な記述があるので、興味のある方は参考にしてください。

 「 SCIENCE OF SOUL 」は、入手可能な書籍の中で、ラージャ・ヨーガについての最も信頼できる本格的解説書といえます。ヨーガ修行によって精神的・霊的な覚醒の道を歩んでいる人にとって、この本は最終段階へ至るまでの詳細なガイドブックと言える名著です。

●マントラ修行の実際

 チベット死者の書のNHK特集、ダライ・ラマのノーベル平和賞受賞、中沢新一の活動などで、日本にも一般に知られるようになったチベット密教では、マントラ修行が重要な位置を占めています。チベットの一般民衆が唱えるマントラは、「オーム・マニ・ペメ・フーム」という若干チベットなまりのあるサンスクリット語のマントラです。

 これは六道を輪廻をするカルマを浄化するため、観音菩薩の神秘的な加護を受けるためのマントラです。興味のある方は文庫本化された際に大幅に改稿された、「虹の階梯−チベット密教の瞑想修行−(中沢新一&ラマ・ケツン・サンポ)」に、このマントラの解説と修行の心得が載っているので読んでみてください。マントラ修行の雰囲気がとのようなものか窺えると思います。

 インド占星術では、各惑星に対応したマントラがあり、ムフルタによってマントラ修行を始めたりおこなう日時を選択するなど、各種技法が存在しています。これらに関して日本語訳で紹介した本はまだないので、要望があれば記事や講習会などで取り上げたいと思っています。

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