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開 運 術

開運術第六課 カルマの法則と開運術

●一段深い『カルマの法則』の理解

 『カルマの法則』を簡単に言えば、『自分の行った善悪の行為は、自分の幸不幸として返ってくる』ということになります。そして、この言葉を自然に納得出来て、日々の生活で善を行ない、悪を行なわないように努力しようと思う人は、開運術を人生に取り入れることによって、幸福になれる条件を持っている人であると言えます。

 その理由は、『カルマの法則』を無視したうまい話は存在しないし、存在するように見えたとしても、『カルマの法則』の詳細を知るならば、そのようなうまい話を説く開運術の根本的欠陥と危険性は、一目瞭然となるからです。

 それでは、『自分の行った善悪の行為は、自分の幸不幸として返ってくる』という『カルマの法則』を、もう一段詳細なレベルで以下に解説してみましょう。この『カルマの法則』を、『因・縁・果』という三つの要素に分離して認識するレベルになると、『カルマの法則』と開運技法の関係も、かなり明瞭になってきます。

 『カルマの法則』は、「前生と今生の過去に、自分の行った身・言葉・心の行為は、データとして記録・蓄積されていく。」という、自分の行ったこと全てが未来に残る、『原因の法則』を基本としています。そして、「過去の行為のデータは、未来と来世において、身・言葉・心の果報として、必ず自分自身が経験することになる。」という『結果の法則』が存在します。

 そして「しかし種々の行為のデータが現象化するには、そのデータの現象化に必要な諸条件が満たされる必要があり、その条件が満たされるまでは現象化しないし、その条件が満たされた時、データの結果が現象化するのを避けることは不可能である。」という『条件の法則』が存在します。

 この『条件の法則』が存在するため、ある人は行為の結果が素早く返って来るし、ある人は行為の結果が死に至るまでも返ってこないという違いが発生します。この『条件の法則』の存在こそが、『カルマの法則』によって全ての現象が支配されているにもかかわらず、一般の人が『カルマの法則』の存在を理解するのが難しい理由です。

 インドから伝わり中国で翻訳され、日本に伝来した仏教教典で、『カルマ』という言葉は『業』と訳されています。日本語で『業』と言うと、一般に悪い意味で使われています。しかしサンスクリット語の『カルマ』という言葉は、現代の日本語では『行為』という言葉が対応する、善悪の色付けを持たない言葉です。

 また漢訳仏典では『原因の法則』・『条件の法則』・『結果の法則』に、『因』・『縁』・『果』という訳語を与えています。したがって「因縁」や「因果」という日本語は、インド宗教に共有されている根本法則の『カルマの法則』に、その語源を持っていることになります。

 この『因・縁・果』と漢訳仏典で訳されている『原因・条件・結果の法則』こそ、『カルマの法則』の一段深い、より実践的なレベルに近い法則です。したがって、心の透明さや智慧の光を求めて修行してきた人が、このレベルで自己の内的世界や外的諸現象を検討すれば、全ては『カルマの法則』に支配されているということも、かなりの部分が実感として納得出来るのではないかと思います。

●『原因・条件・結果の法則』と開運術

 それでは上記のように『カルマの法則』によって、全ての現象が支配されているにもかかわらず、たとえ危険な要素があるにしろ、自分に都合の良い結果を現象化させるような開運術が存在するのは何故でしょうか?

 それは『カルマの法則』をより詳細に分類した、『原因の法則』・『条件の法則』・『結果の法則』の三つから、『条件の法則』に注目すれば、その答えを導き出すことが容易になります。つまり『カルマの法則』に全てが支配されている世界でも、『条件の法則』を応用すれば、自分に都合の良い結果を生むデータを、ある程度まで意図的に選択し、現象化することは可能であるということに気付くはずです。

 しかし、開運術で条件を操作することによって、良い結果を出すためには、良い結果を現象化するような原因を、開運術を実践する本人が持っていることが、必要条件です。つまり、いくら『条件(縁)』を開運術で強力に操作したとしても、存在しない『原因』の『結果』を生じさせることは、カルマの法則によって、原理的に不可能なのです。

 つまり仏教用語を使うなら、『過去と過去生に積んだ善業』によって、『功徳という良き因』を積んでいなければ、その『善の果報としての幸福』を得ることは不可能ということです。

 また、たとえ『善業によって積んだ幸福の原因』を少しは持っていたとしても、あまりにも悪い結果を現象化する力を持つ原因、つまり仏教用語を使うなら『悪業によって積んだ不幸の原因』の蓄積の方が多ければ、『不幸の原因』の現象化する勢いの強さによって、開運術による『条件(縁)』の操作も、その力を発揮することが出来ません。

 ここまで書けば、ある人は一つ重要なポイントに気付くでしょう。つまり、開運術の『条件(縁)』をいじる力が強ければ強いほど、その開運術を使い続けることによって、急速に自分の中に内在する『幸福の原因』は急速に減少していき、結果として『不幸の原因』しか残らないことは、『原因・条件・結果の法則』から見れば一目瞭然です。

 私は、個人的に色々な運命学研究家と運命学技法の交流をしていますが、東洋の典型的な開運術である気学や奇門遁甲の方位取りを、継続的に実践した経験を持つ運命学研究家は、みな気学や奇門遁甲の方位取りは、最初は確かに効果があるんだけと、ある時点から効果が出なくなると言っています。
 これは、その開運術の技法で引き出すことの可能な『幸福の原因』が無くなった段階で、開運術は効果を失うという、『カルマの法則』の厳然たる実例です。そして、その時には未来に幸福を経験するに必要な『幸福の原因』の総量は確実に減少し、未来に苦しみを経験させる『不幸の原因』は、そのまま残されているわけです。

 しかし彼らはみな優秀ですから、気学や奇門遁甲の開運術以外の運命学や瞑想法についても研究しており、気学や奇門遁甲だけに依存する必要が無いので、このような事実も話してくれます。また優秀で良心的な運命学研究家の書く開運術の本であれば、それぞれの運命学体系の言葉によって、カルマの法則による開運術の限界について注意を与えています。

●インド占星術と方位取り開運術

 ちなみにインド占星術にも方位取りに応用できる占星術技法が幾つか存在しますが、気学や奇門遁甲に比べると方位取りによる開運術としての完成度はかなり低いと言えます。これはヤギャやマントラなどの宗教的実践と縁の深い開運術がインド占星術では発達しているためであると思われます。

 このインド占星術による方位取りを、奇門遁甲の理論構造を応用して開運技法として洗練するのは、大変興味深い研究テーマです。しかしこの研究を世に出すか出さないか、出すとすれば、どのような形で世に出すかについては、ある程度の配慮が必要でしょう。

●完全な開運術

 ここで『原因・条件・結果の法則』に関する解説を読んで、このような事に気付く人がいるかもしれません。つまり『原因の法則』によって幸福の原因を増大させながら、『条件の法則』によって幸福な結果を適切な時と場所で引き出すのなら、それはカルマの法則に照らし合わせても、完全な開運術なのではないかと。

 確かに、これはカルマの法則から見ても正しい見解であり、この点に気付く人は智慧に優れた人といえます。実際、幸福の原因を増大させながら、幸福の現象化をコントロールするような開運術は、完全な開運術の半分を構成します。

 この身・言葉・心の行為において善を行ない、それによって幸福の原因を増大させる方法こそが、安全で永続性のある、そして輪廻転生する未来生においても幸福を増大させる、いかなる人にとっても学び、研究する価値のある開運術ということが出来ます。

 これについては、また機会をみて書くことになるでしょう。

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