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運 命 学

運命学の基礎理論

 運命学が運命の科学とすれば、開運術は運命学の応用技術です。したがって、この特別寄稿では、開運術の解説と平行して運命学の基礎理論についても解説していきます。第一回は占星術が運命予測技術として成立する理由について簡単に解説します。

実星を使う運命学の基礎理論

 出生時間を使う占星術には、西洋占星術やインド占星術のように実在する星(実星)を使用するものと、紫薇斗数推命術・四柱推命のように実在しない星(虚星)を使用するものがあります。これも詳細な検討をすれば、このような単純な区分けは出来ないのですが、ここでは大雑把に分類しておきます。何故、星の配置が運命を示すのかについて、西洋占星術では明瞭な理論を語ることはなく、詩的で象徴的な説明以上のことはしません。しかし、インド占星術は、工学的と呼べるほどの明快な理論を語ります。
インド占星術では、星の配置から人の運命を読み取ることが出来る理由を、以下のようなシステムとして理解しています。

1.個人は、日々に行っている心身の善悪の行為の記憶を、潜在意識の深い部分に種子として蓄積していく。

2.この個人の潜在意識の深い部分に蓄積された記憶の種子は、肉体と顕在意識を失った死後もデータとして保存されている。

3.保存されたデータが形成する潜在意識は、データの特性によって次の人生の環境を選択し、次の生の身体を形成していく。

4.天空の恒星は、それぞれが大別してプラスとマイナスに分類されるエネルギーを放射している。

5.恒星の放射するエネルギーは、太陽系内の惑星によって受信され、惑星の特性により変調される。そして再度惑星から宇宙空間に放射される。

6.その結果、恒星の放射するエネルギーのタイプと強さは、太陽系内では惑星の天体配置とその運行によって変化し続ける。

7.この恒星と惑星の放射するエネルギーの状態は、地球では大地との天空の位置関係によって、さらに影響を受ける。

8.地上の生命体はこのエネルギーを潜在意識を受信装置として受け続けている。受信したエネルギーは、潜在意識に種子として保存されていた前生の善悪の行為の記憶を発芽させる。

9.発芽する記憶の種類は、受信したエネルギーのタイプと強さによって選択される。

10.発芽した前生の善悪の行為の記憶は、潜在意識でイメージを形成し、そのイメージは潜在意識の欲求を形成する。

11.潜在意識の欲求は、顕在意識の心・言葉・行動の三つの行いを決定する。

12.この心・言葉・行動の行いは、行いの結果として現実世界において、幸運な結果や不幸な結果を行為者に経験させる。

 この「1.2.3.10.11.12.」のシステムを『カルマ(Karma)の法則』といいます。インド占星術において出生図がその人の運命を表示するのは、この個人の Karma の状態と、出生時の天体配置による星のエネルギーの質が一致するタイミングで、人は出生するという共時性の法則が成立しているためです。
 この「前生の善悪の行為による運命の形成→天空を運行する星のエネルギー状態による運命の種子の選択→選択された運命の種子による潜在意識の欲求の決定→潜在意識の欲求により選択した心・言葉・行動の行いによる幸運や不幸の経験」という、人生を支配するカルマの法則からすべての運命学と開運術の基本原理が導かれています。

(註) Karma は Karman の主格形で Karman の代わりに常用されています。Karman は、Kri から派生した言葉で、原義は「行為」の意味です。人が善か悪かのいずれかの行為をすれば、そこになんらかの潜勢力・余力が残り、それがその行為をした人の次のあり方を支配するという思考が、インド思想の基本となっています。

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