2003.02.19

ハウス展開の技法あれこれ(その1)

岩田 「ハウス展開の技法から導き出される法則で、最も基本的でよく知られている法則は、マラカ・ハウスに関する法則だね。」

桃井 「そうですね。
 生命や寿命を現す8室を1室として見た場合、そこから喪失のハウスである12室目の7室が、死をもたらすマラカ・ハウスであるというのは、インド占星術の入門で学びますから。」

岩田 「このマラカ・ハウスの法則には、ハウスの自己展開という、とても重要で高度なハウス展開の技法が使われているんだ。」

桃井 「自己展開というのは?」

岩田 「マラカ・ハウスに関する法則では、8室から見た8室目である3室も生命や寿命を現すハウスで、その3室を1室として見た場合、そこから12室目である2室も死をもたらすハウスであると規定しているよね。」

桃井 「はい。でも最初にこの法則を読んだ時は、すこしこじつけっぽいなと感じました。」

岩田 「それは正直な感想だと思うよ。でもマラカ・ハウスとしての凶暴さは、7室より2室の方が強力であるというのは、インド占星術家にほぼ共通の認識になっている。これはとても面白いことだね。」

桃井 「そうですね。」

岩田 「東西では、8室から見た8室目も、8室と同じ生命と寿命のハウスであるというハウス展開のパターンを、ハウスの自己展開と呼んでいる。
 この自己展開というハウス展開のパターンは、ハウス展開の技法においてとても重要な法則で、8室以外のハウスでも、特に10室から見た10室や、7室から見た7室といった自己展開は、実際のリーディングでも非常に利用価値の高いハウス展開の技法なんだ。」

桃井 「そういえばラオ先生も、救済や伝道の使命を持って生まれてきたかを見るのに、10室から見た10室目を使っていましたね。」

岩田 「そうだね。10室のテーマである「職業」は、英語の profession を訳したものだけど、 profession には知的専門職という意味のほかに、宗教的な内容に関する宣誓という意味もあるので、自然と「使命」という意味が出てくるんだね。
 もともと天職という言葉があるように、自分の仕事の中に今の自分を超えた存在の意思を感じとる人は多いと思うよ。」

桃井 「10室から見た10室や、7室から見た7室以外の自己展開は、どの程度使えるんですか?」

岩田 「12ハウスすべて使えると考えていい。でも1室から見た1室はやっぱり1室だから、このハウスだけは実際のリーディングでは使えないね。理論的には重要なんだけど。
 桃井くんは12ハウスの自己展開の中で、7室から見た7室と10室から見た10室が、実際のリーディングで価値が高い理由を説明できるかな?」

桃井 「うーん・・・。すぐには思いつきませんね。」

岩田 「実際に12ハウスすべての自己展開を紙に書いて、検討すれば気付くと思うよ。これは桃井君と読者の宿題だね。」

桃井 「解答を募集しますか?」

岩田 「そうだね。読者から反応があれば解答を談話室で公開して、そのテーマについて話すことにしよう。こういう宿題には複数の解答が可能だから、意表を突いた解答が出てくるとうれしいな。」

桃井 「通信講座を受講している研究生のみなさんにも、がんばってほしいですね。」