2003.02.20

ハウス展開の技法あれこれ(その2)

岩田 「なぜ2室の方が死を呼ぶマラカ・ハウスとして、7室より凶暴に作用するのか、桃井君は説明できるかな?」

桃井 「これはわかりませんね。ハウスの自己展開自体がピンと来ませんから。」

岩田 「そうだね。ハウスの自己展開から説明するのはとても高度だから、もっと基本的なインド占星術の法則からの説明してみよう。

 ハウスの吉凶分類から言えば、2室はニュートラル・ハウスで、7室は守護のハウスであるケンドラ・ハウスになる。ニュートラル・ハウスというのは、その中立性のためにハウス展開の影響をもろに受けるハウスなんだ。そのため9室を失う、9室から12番目のニュートラル・ハウスである8室が最悪のドシュタナ・ハウスになっているし、ニュートラル・ハウスの12室もドシュタナ・ハウスに分類されている。

 残りのニュートラル・ハウスである2室も、生命のハウスから12番目で生命を失う殺人者のハウスとしては7室と同等なのに、その中立的性格のために最悪のマラカ・ハウスになっている。ここにも中立のハウスゆえに最悪のハウスになるという法則が成立していることになる。」

桃井 「中立のハウスゆえに最悪のハウスになるという法則は、意外と応用が広いんですね。」

岩田 「基本法則やその応用法則を丁寧に展開すると、複雑で膨大な技法の集積と思えるインド占星術が、実は数ある占術体系の中でも類の無いほどの理論的構造を持っていることが理解できるようになる。その理論構造の美しさを、インド占星術を学ぶみなさんには、体感してもらいたいと思っているんだ。」

桃井 「最古の神秘的な占星術というイメージで紹介されることが多いインド占星術ですけど、意外な世界が広がっているんですね。」

岩田 「日本人がインド占星術の叡智に貢献出来る部分があるとしたら、複雑で膨大な技法の集積と思えるインド占星術の体系に内在する理論構造から、逆にインド占星術を再構築して提供することだと思うんだ。インド人占星術家が抱えている偉大な伝統の重みが無いがゆえに出来る貢献だからね。」

桃井 「神秘性がなくなることに反対のインド占星術ファンもいるでしょうね。」

岩田 「インド占星術の世界はそのくらいで神秘性を失うほど薄っぺらじゃないね。営業的なこけおどしの異国情緒的神秘性を失った後にこそ、真の神秘性・・・・、つまり秘められた神の叡智であるスピリチュアル・アストロロジーが輝くんじゃないかな。」