2003.02.25

ハウス展開の技法あれこれ(その3)

岩田 「桃井君は、トリコーナ・ハウスの5室の象意の中に、「公衆の面前での屈辱」という象意が入っているのを知っているかな?」

桃井 「はい、研究員用レファレンスのハウス象意に載っていますけど、なんでこの象意が5室にあるのか不思議に思っていました。」

岩田 「そうだね、私もインド占星術を学び始めた頃は、古典としてこの象意が5室に存在する理由がまったく判らなくって、実際のリーディングで使うことは出来なかった。逆に言えば、この象意がトリコーナ・ハウスに存在する理由を発見したときは、とてもうれしかったのを憶えている。

 実は、この象意がトリコーナ・ハウスに存在するのが、ハウス展開の技法と似たパターンで導き出せると知っていれば、これを解くのはそんなに難しいことではないんだ。桃井君はこのヒントで解答が導き出せるかな?」

桃井 「えーっと・・・・・・。
 そうですね、「公衆の面前での屈辱」という象意は、ドシュタナ・ハウスの6室と8室にもある象意ですから、5室がハウス展開で6室や8室の役割をするんだな、というのは推測できます。でもそこからフィニッシュまでいきませんね。」

岩田 「そこまで判るなら、あともう1歩だね。でもその1歩は、純粋なハウス展開の技法ではないから、複雑なハウス展開を始めても迷路に入ってしまう。5室が6室や8室の役割をするにはどのハウスが1室になる必要があるかを考えて、そのハウスが1室として使える理由を考えるというプロセスで、もう一度解答を考えてみるといい。」

桃井 「はい。」

桃井 「5室が6室の役割をするには、12室が1室の役割をする必要がありますし、5室が8室の役割をするには、10室が1室の役割をする必要がありますね。12室と10室では、10室の方が社会的な自分の地位という意味で1室として自然ですね。

 そうすると、社会的地位にとっての最大の不幸は「公衆の面前での屈辱」だから、10室から見た最悪のドシュタナ・ハウスの8室は、1室から見た5室になります。」

岩田 「それで正解だね。10室は、西洋占星術では太陽・月・アセンダントと並ぶ重要な表示体であるMCが位置するハウスだから、ここをラグナとして使うのは自然なことだ。」

桃井 「MCってなんですか?」

岩田 「アセンダントが出生時刻の東の地平線なら、MCは出生時刻の天空の頂点だから、アセンダントが決まれば、MCも決まる関係にある。実はインド占星術でもMCという概念が潜在的に存在することを、この5室の奇妙な象意は教えてくれているんだね。」

桃井 「インド占星術でも、密かに天頂に位置する10室をラグナとして使うことがあるんですね。」