2003.06.26

マザー・テレサ&ベルナデット

岩田 「前回の談話室では、仏教やヒンドゥー教の聖者方とは対照的な特徴を持つマザー・テレサの出生図について検討したけど、今回は研究日誌でも取り上げられているベルナデットを、マザー・テレサと同じく月を1室として検討してみよう。

 ベルナデットは聖母マリアの導きにより、現在まで多くの奇跡的な病気の治癒をもたらして来たルルドの泉を開き、その後は修道女として闘病の生涯を送り、35歳で生涯を終えたけど、その特徴を桃井君はどう読み取るかな?」

桃井 「マザー・テレサもベルナデットも、月に対して土星がアスペクトしています。また二人とも、月の両側にはラーフやケートゥしかなくて、淋しい月になっています。これらは出家修行者に特徴的な、現世的な幸福に空しさ感じ、現世を厭い離れる心の傾向を表していますね。」

岩田 「そうだね、特にマザー・テレサの場合は火星の支配する星座に月が在住して、土星とコンジャンクションしているから、広い意味でのサンニヤシ・ヨーガを形成している。
 それからマザー・テレサもベルナデットも、月から数えてケンドラ・ハウスに惑星が在住しているから、完全なケマドルマ・ヨーガではないけど、月に対する土星のアスペクトと重ね合わせて、身近で親愛な人々からの別離を暗示している惑星配置で、二人の出家修行者としての特徴を良く表しているといってもいいね。」

桃井 「それからベルナデットの月から12室目にケートゥが在住していますが、これはベルナデットの霊的な傾向を表していると思います。」

岩田 「12室のケートゥは、深い意識に突っ込みやすい人が多いけど、霊性が高ければベルナデットのような経験をするんだろうね。
 ベルナデットの出生図は、6・9室を支配する木星と、5・10室を支配する火星が8室で同室している。彼女はマザー・テレサと違って、救済者という側面がほとんどないので、出生図全体を見ても修道女、つまり出家修行者としての特徴がきれいに出ている。
 こうしてベルナデットの出生図とマザー・テレサの出生図を比較すると、マザー・テレサの『私は一人の修道女です。』という言葉が、単なる謙虚さの表れだけでなく、自分の本質のある部分について語っている言葉であることが分かると思うんだ。」

桃井 「マザー・テレサのテレサという修道名は、マザー・テレサが修道院で闘病を続けながら愛の祈りを続け、若くして死んだ『小さなテレサ』を慕って選んだという話を読んだことがありますが、そういうことなんですね。」

岩田 「それから、マザー・テレサとベルナデットの共通点として、月から数えての7室に金星と土星が関係しているというのも見逃せない特徴だ。」

桃井 「マザー・テレサの7室の支配星は金星で、7室には土星がアスペクトしていますし、ベルナデットも7室の支配星である土星が7室で金星と同室していますね。でもこれってどう解釈するんですか?」

岩田 「修道女には現世の男性を捨断して、イエス・キリストの霊的な花嫁となるという面があるから、厭離の土星と異性愛の金星がパートナーを表す7室に関係するというのは、その両面性の表れだと思うんだ。」

桃井 「7室に関係する土星と金星のコンビネーションは、そういう風に解釈するんですね。」

岩田 「7室に関係する土星と金星のコンビネーションを、いつでもこんなふうに解釈するわけではないんだ。でもチベット密教ゲールク派の総帥であるダライラマ14世の出生図でも、月から7室に土星と金星が関係しているから、この視点はけっこう重要だと思う。
 この惑星配置は、現実世界における異性愛を捨断し、その心的な機能を高い宗教性と霊性に昇華していくような宗教的実践する人の特徴と言えるかもしれないね。」

桃井 「マザー・テレサやベルナデットとダライラマ14世がこんな共通点を持っているというのは、チャートを並べて比較でもしてみないとと、とても気付きませんね・・・。」