2003.10.21

トロピカル12星座の支配星とは何か?

岩田 「しばらくトロピカル12星座の談話室が続いたけど、最後にトロピカル12星座の支配星について話してみようと思うんだ。」

桃井 「最後ですか?」

岩田 「このテーマに関して見解を述べると、どうしても論争の色合いを帯びてしまうから、トロピカル12星座に関する談話室は、出来れば今回を最後にしたいんだ。でもここまで見解を表明した以上、『トロピカル12星座の支配星とは何か?』というテーマも話した方がいいと思ってね。」

桃井 「西洋占星術では、トランスサタニアンの天王星・海王星・冥王星を、水瓶座・魚座・蠍座の支配星として割り当てていますが、『トロピカル12星座とは、星座ではなく12ハウスである』という見解に立つと、魚座の支配星は木星か海王星かという論争以前に、『トロピカル12星座に支配星はあるのか?』という議論になってしまいますね。」

岩田 「そのとおり。でも実は『トロピカル12星座とは、星座ではなく12ハウスである』という見解に立つと、逆に水瓶座・魚座・蠍座の支配星を、天王星・海王星・冥王星ではなく土星・木星・火星とするインド占星術の見解と、天王星・海王星・冥王星を水瓶座・魚座・蠍座に割り当てる西洋占星術を両立させることが可能になるという、意外とも言える結論に達することになるんだ。」

桃井 「それはまた、まったく予想もしなかった意外な見解ですね。」

岩田 「インド占星術では、12ハウスにハウスの表示体を割り当てているのは、桃井君も知っているよね。」

桃井 「はい、12ハウスに各ハウスのテーマを表示する惑星を割り当てて、そのハウスについて検討する時は、結論を出す前に必ずハウスのテーマを表示する惑星の状態について検討するというのは、インド占星術では中級以上のホロスコープ・リーディングとして教えてもらう内容ですね。」

岩田 「そうだね、でもこのハウスの表示体ほどインド占星術家の間で意見が別れる技法は無いといってもいいくらい、それぞれの占星術家が各惑星を各ハウスに割り当てて、12ハウスの表示体として使用している。

 したがって12星座の支配星という概念ではなく、トランスサタニアンを12ハウスの表示体として割り当てて、そのハウスの検討をする時にその割り当てた惑星の状態を検討するというホロスコープ・リーディングは、インド占星術のようにサイデリアル占星学派に属する占星術体系と十分共存できる余地があるんだ。」

桃井 「トロピカル12星座の支配星は、星座の支配星ではなく、トロピカル12ハウスの表示体であるということですね。それなら確かに、インド占星術のサイデリアル星座の支配星と正しさを争う必要がありませんね。」

岩田 「優秀なインド占星術家の間でも、ハウスの表示体に関する意見がさまざまに別れ、しかもそれぞれに納得させる根拠を持つということは、ハウスの表示体という概念がもう一次元高いレベルで完成される必要があることを意味しているんじゃないかな。

 だから、トランスサタニアンの12ハウスの表示体への導入という研究は、それが最終的に採用されるかはどうか分からないけど、少なくともハウスの表示体というインド占星術の技法を進化させる大きなきっかけになるような気がするんだ。」

桃井 「確かに、海王星→12室の表示体、天王星→11室の表示体、冥王星→8室の表示体、というのは、なんとなく納得できる雰囲気がありますね。特に海王星→12室の表示体、冥王星→8室の表示体、というのは、これから自分のホロスコープ・リーディングに採用してみようかなと思うくらいのはまり役ですね。」

岩田 「もともとインド占星術でもハウスの表示体は、1ハウスと1惑星が対応しているのではなく、1ハウスに複数の惑星が対応しているから、トランスサタニアンを導入するのは大変容易なんだ。

 もっとも、複数の表示体をどのように使い分けるかという実占的ノウハウが無いと、表示体が増えるだけ混乱が増大することになるけどね。」

桃井 「そういった意味でも、ハウスの表示体を使用したリーディングは中級以上の占星術技法になってしまいますね。」

岩田 「ハウスの表示体の実占的ノウハウは、そのうち東西占星術研究所の公開講座でやることになると思うけど、その時はトランスサタニアンの研究についても話すことが出来るかもしれないね。」

桃井 「ステップアップ講座のシリーズは、東西占星術研究所の最新研究にも話が及ぶから、楽しみにしていいかもしれませんね。」