2004.02.20

マントラと功徳

桃井 「岩田先生、こんなメッセージが来ていますよ。」

◆Mさんのメッセージ◆

はじめまして、こんにちは。
私はガネーシャの小さな置物を部屋に飾って
時々マントラらしきものを唱えていますが、
発音が合っているのか作法が合っているのかも分からないのに、
マントラを唱えていいものか?と思っています。

それに、善行をしないと結果は出ないわけですよね?
仮にマントラの方法が合っていたとして、
マントラを毎日唱えていたとしたら
善行の貯金は赤字になっていくばかりですよね?
マントラは毎日唱えないで、ここぞというときに
唱えた方がよいのでしょうか?

岩田 「このメッセージを読むと、カルマの法則に基づいて、原因とその結果を正確に理解するのは、やはり大変なんだなということだね。」

桃井 「マントラというのは、言葉における功徳を積むから、言葉の功徳という貯金が増えるんではないかと思うんですが。」

岩田 「桃井君の言う通り、唱えるマントラの意味や、唱える心の働きによって、善行の貯金が増えていくこともある。
またMさんがメッセージで言っているように、善行の貯金は減少することもあるんだね。」

桃井 「それは、具体的にどうすれば違ってくるんですか?」

岩田 「桃井君の言う通り、口に出してマントラを唱えることによって、言葉の功徳を積むことが出来る。でもそれは、唱えるマントラが人を聖なる世界に導く崇高な内容である場合ということになる。
 しかも、唱える人がその内容を理解する深さに比例して、言葉と心の功徳を多く積むことが可能になるんだね。」

桃井 「それじゃあ、善行の貯金が減る場合はどんな時なんですか?」

岩田 「開運術でも解説しているように、願望成就のために深層意識の強大なパワーを発動させる瞑想テクニックとしてマントラを使うならば、当然、自分の持っている功徳を強力に搾り出すことになるから、善行の貯金は急激に減っていくことになる。
 正しい瞑想に熟達していれば、この功徳の減少を認識できるし、実践的なカルマの法則を学んでいれば、功徳の減少を表す色々なサインに気付くことが出来る。
 それに気付くことの出来ない人は、『奇跡のスーパー開運法』とかのたぐいに、はまってしまうんだね。」

桃井 「正しい瞑想法って、どんな瞑想ですか?」

岩田 「一般的に指導されている瞑想法としては、ヴィパッサナー瞑想が比較的近い瞑想法だろうね。

 もっとも一つのマントラには、一つのマントラの世界が形成されており、唱えるマントラの正確さに応じてその世界のエネルギーを受け取ることが出来るから、そのエネルギーが自然と深層意識に存在している願望に使われ、願望が叶うことがある。
 その場合は、日雇い労働者のようにマントラで功徳を積んでは、すぐに使いこむということになるだろうね。」

桃井 「それはどんなマントラでも同じですか?」

岩田 「もちろんマントラによって、シンクロする世界が異なり、受け取るエネルギーも異なるから、自分の求める世界とシンクロ出来るマントラを選ぶ必要がある。
 そして意味がないマントラほど、音の波動が重要になってくるから、発声が正確であることが必要だ。したがって、そのようなマントラを唱える場合は、直接にマントラの伝授を受けるとか、マントラを録音したテープに発声を合わせるなどが望ましいね。
 それに対して、言葉の意味が重要で深遠な内容であるならば、意味の深い理解の方がより必要とも言える。」

桃井 「でもマントラを紹介している本って、唱える目的や効果は書いてあっても、その意味は解説していまんせんね。」

岩田 「深層意識のパワーを使って願望成就するためには、意味のないマントラの方が好都合だからね。
 それに、理解出来ない難しい言葉を喜ぶ人も多いから、そこに迎合して権威を付けようとしている面もあるだろう。
 そういう点では、耳で聞いてだれも意味の理解出来ない漢訳仏典を、中国の古い発音で唱えている日本のお経は、思索的瞑想の土台という仏典本来の役割を失い、願望成就のための有難いマントラに変化していると言えるだろうね。」

桃井 「私も南無阿弥陀仏という言葉は昔から知っていましたけど、それが『無量光という名の覚者に帰依し奉ります』という意味のサンスクリット語を漢訳したものだというのは、岩田先生に教えてもらうまではまったく知りませんでした。」

岩田 「話をメッセージの質問に戻して回答するなら、
 唱えるマントラが心と言葉の行為によって功徳を積めるマントラなら、当然毎日マントラを唱えるほうがより多くの功徳を積める。
 また深層意識のパワーを使い願望成就をするためにマントラを唱えるなら、願望に心がとらわれている時期に集中して唱えれば、残り少ない功徳を効率よく願望成就に使うことが出来る。」

桃井 「でも、マントラを願望成就に使っていいんでしょうか?」

岩田 「本来、霊的なパワーを現世的願望成就に使うのは、お勧めしがたいんだけど、魂の長い進化のプロセスでは現世的願望を求める段階もある。
 だから、マントラをそういう目的に使うことに対して非難はしないよ。でも霊的パワーを使わなければ、心から欲する願望が成就しないというのは、その人の人生に根本的な問題点があることを意味していると言えない事もない。
 だから意味のわからないマントラを唱えるより、その本質的な問題点を発見し、着実に改善していくなら、現世的な願望は比較的初期の段階で、勝手に成就していくはずなんだ。
 その段階になれば、霊性を向上させるための貴重なエネルギーを、いつのまにか現世的な願望成就によってロスしないように、功徳の現象化をコントロールする瞑想技法を習得するのが課題になるんだね。」

桃井 「とてもハイレベルな人生観ですけど、なんとなく想像は出来る世界ですね。」

岩田 「まあ現世的な願望成就については、正しい開運術を使って早く叶えてしまい、それがどんなものか経験したら、それに引っ掛からないで、すみやかに卒業出来るといいね。
 そして次には、現世的願望成就では経験できない、もっと広がりと安定のある、輝きに満ちた幸福の世界の扉を開いてもらいたいと思う。」