2004/08/12 (木)

沙羅のティー・ルーム(パブロ・ピカソNo.3)

沙羅 「これが、パブロ・ピカソのシャシュテァームシャ・チャート。つまり60分割図ね。」

桃井 「60分割図って、ラーシ・チャートやナヴァームシャ・チャートに匹敵する重要な分割図だとインド占星術の古典には書いてあるのは知ってますけど、実際のリーディングに使われることって、ほとんどないですよね。
 60分割図って、30度を60の星座に分割して惑星を再配置するんですから、惑星の位置とかの信頼性ってだいじょうぶなんですか?」

沙羅 「動きの速い月でも、約1時間かけてシャシュテァームシャ・チャートの1星座を通過するから、出生時間が5分単位で正確ならアセンダント以外の惑星は、問題なく使えるよ。

 それからアセンダントは、約2分で1星座を通過するから、アセンダントの位置が使える場合だってけっこう多いのよ。」

桃井 「岩田先生は、ピカソの出生データは出所の信頼性も高いし、出生時間も時刻修正無しで十分研究に使えると言ってましたから、かなり正確なんでしょうね。」

沙羅 「まあ、ピカソの場合はアセンダントまで使っても大丈夫なんじゃない。でも今日教えるのは、月の位置が使えれば十分だから、わりと使いやすい技法よ。
 ただ減衰の惑星がいっぱい無いと出番のない技法だから、使う機会は少ないけどね。」

桃井 「減衰の惑星だらけの有名人が、いっぱいいたら大変ですからね。」

沙羅 「ラーシ・チャートで減衰の惑星が二つ以上あって、シャシュテァームシャ・チャートで減衰の惑星が、生来的吉星の支配する星座に位置していると、偉大な王になるというマイナーな法則があって、実はこれが結構作用しているのよ。

 パブロ・ピカソのシャシュテァームシャ・チャートも、ムーラトリコーナの星座に位置する土星以外は、すべて生来的吉星の星座に入っているから、この法則がかなりきれいに成立しているのね。」

桃井 「たしかに土星以外の惑星はアセンダントも含めて、きれいに生来的吉星の支配する星座に集まっていますね。」

沙羅 「この、減衰惑星がラーシ・チャートにいっぱいあって、シャシュテァームシャ・チャートでは吉星の支配する星座やムーラトリコーナに惑星集中するパターンは、意外と強力なラージャ・ヨーガになるみたい。」

桃井 「ほかにもそういう有名人って、いるんですか?」

沙羅 「たとえばメジャー・リーグの野茂は、ラーシ・チャートで月・火星・金星・土星が減衰の星座、シャシュテァームシャ・チャートで月・金星・土星が吉星の支配する星座、火星はムーラトリコーナの牡羊座だから、この法則のきれいな実例のひとつ。」

桃井 「20世紀最大の画家の金星が減衰していたり、メジャー・リーグで二回のノーヒット・ノーランを達成した偉大なプロ野球選手の火星が減衰してたりすると、けっこうこまっちゃいますけど、こういう法則もあるんですね。」

沙羅 「まあ、岩田先生のリーディング・スタイルなら、この法則を使わなくても、ピカソの金星や野茂の火星はきれいに説明できるし、そっちの方が深遠なんだけど、こういう裏技的一発勝負の技法で、あざやかな結果が出るというのが、インド占星術のおもしろいところよね。」

桃井 「ふだんは出番のないシャシュテァームシャ・チャートにも、こんな技法があるというのは、インド占星術の古典に存在する膨大な技法には、まだまだ味わい深い技法がいっぱいあるということなんですね。」

沙羅 「理論的な重要さや深みのある技法じゃないけど、話のネタとして談話室に取り上げるには、わかりやすいし、とても面白い技法ね。」




談話室過去ログへ