2004/09/10 (金)

続・東西ハウス談議(レジオモンタナス、コッホ、etc.)


桃井 「前回の続きになりますが、インド占星術でも西洋占星術でも、これだけ色々なハウス・システムが存在していると、どうしても自分の使っているハウスが正しくて、他のハウスは正しくないと考えてしまうか、それとも『いったい、どのハウス・システムが正しいんですか?』という疑問・質問が出ると思うんですけど。」

岩田 「それは人間だから、どうしてもそう考えたくなるよね。

 でも占星術家がそのハウス・システムの特徴をうまく使い、欠点をカバーするリーディング・スタイルを確立していれば、少なくとも前回取り上げたハウス・システムは、十分実占に使用することは十分可能だと思うよ。

 だから、どのハウス・システムが正しいかと争うのは、サイデリアル12星座とトロピカル12星座のどちらが正しいかという争いと同じで、論争それ自体が正しくないから、いくら議論しても正答が出る論争じゃないんだね。

 だから問題は、自分の使っている12星座や12ハウスのリーディング・ノウハウが、その星座やハウスの理論構造に依存していて、その星座やハウスでしか使ってはいけない技法なのか、それとも他の星座やハウスにも使用可能な、汎用性の高い技法なのかしっかり区別して、使う使わないを判断していくことが重要なんだ。

 たとえば、東西占星術研究所が使用してる高度なハウス展開の技法は、その一部を除いては、12星座と12ハウスの境界を一致させた『星座=ハウス』のハウス・システムでないと、実占に使用するのは不可能なんだけど、桃井君はその理由がわかるかな?」

桃井 「えーっと、・・・?」

岩田 「考えるポイントは、『星座=ハウス』以外のハウス・システムは、アセンダントの度数がハウスを区分する度数を決定するハウス・システムになっていることだ。

 これはハウス展開の技法を研究する者には必須で重要な理解だから、研究員としては自分で理由を導き出してほしいな。」

桃井 「はい、たぶん大丈夫ですから、その理由をまとめて文章に整理してみます。まとめが出来たらチェックしてくださいね。」

岩田 「桃井君も、プロの鑑定家としてのスキルだけでなく、研究者としての思索力もだんだんとアップしているみたいだね。」

桃井 「ふふっ、がんばります。」

岩田 「ところで、少しお遊びっぽい話題になるけど、『アセンダント=第1室の中央&MC=第10室の中央』という北インドと同じコンセプトを採用しているハウス・システムを、西洋占星術で採用することが可能なら、新しいトロピカル12星座を登場させることが可能になるという、面白い考察があるんだ。」

桃井 「それは、どういうことですか?」

岩田 「つまり、『アセンダント=第1室の起点&MC=第10室の起点』というプラシーダス・タイプのハウス・システムより、『アセンダント=第1室の中央&MC=第10室の中央』というハウス・システムが正しいと考える立場に立つとする。

 そうすると、その立場の背景にあるのと同じ理論構造を使って、『春分点=牡羊座の起点』というトロピカル12星座より、『春分点=牡羊座の中央』というタイプのトロピカル12星座が正しいという結論が、容易に導かれることになる。」

桃井 「・・・・・。

 そうか、それは『トロピカル12星座は、春分点を第1室の起点とする12ハウスのシステムである。』という見解の応用ですね。

 たしかに、『春分点を起点とするトロピカル12星座』を採用する立場は、『アセンダントを起点とするプラシーダス12ハウス』を採用する立場と、同じ理論構造をその背景に持っているという立場から考察していくと、そういう結論になってしまいますね。」

岩田 「まあ占星術の世界は、かなり何でもありの世界だから『春分点=牡羊座の中央』というトロピカル12星座も誰かが提唱しているのかもしれないけど。」

桃井 「もし、そういう提唱をしている占星術家が存在しているなら、メールか何かで教えてもらえるとうれしいですね。」

岩田 「そうだね、それまでこの『春分点=牡羊座の中央』というトロピカル12星座には、北インド式トロピカル12星座という名前を付けておこうか。」

桃井 「それは、なかなか刺激的で味わい深いネーミングですね。」

岩田 「もし、西洋占星術が占星学としての理論性を維持しようと思ったら、『アセンダント=第1室の中央&MC=第10室の中央』というハウス・システムを採用するなら、12星座システムも『春分点=牡羊座の中央』という北インド式トロピカル12星座を採用するべきだと思う。

 逆に、『春分点=牡羊座の起点』という通常のトロピカル12星座を採用するなら、『アセンダント=第1室の起点&MC=第10室の起点』というレジオモンタナス・タイプのハウス・システムを採用するのが自然なんだね。」

桃井 「レジオモンタナスというのは、どんなハウス・システムですか?」

岩田 「小曽根氏は、キャンパナス・タイプのハウス・システムと同じハウス分割方法で、ハウスの境界は、アセンダントを第1室の起点、MCを第10室の起点というハウス・システムとしている。

 ここではシンプルに、プラシーダス、レジオモンタナス、コッホなどのハウス・システムは、『アセンダント=第1室の起点&MC=第10室の起点』のグループに属すると考えておけばいいと思う。」

桃井 「西洋占星術には、『アセンダント=第1室の起点&MC=第10室の起点』のグループだけでも、いろいろなハウス・システムが存在しているんですね。」

岩田 「たしかに、現代西洋占星術家が紹介するハウス・システムを全部数えたら、インド占星術におけるダシャー・システムの多さと匹敵するかもしれないね。」




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