2005/05/28 (土)

ベネディクト16世誕生

桃井「岩田先生、ヨハネ・パウロ2世の後に新しいローマ法王になったベネディクト16世の信頼出来るホロスコープって存在するんですか?」

岩田「枢機卿による相互選挙であるコンクラーベで、新しいローマ法王に選出されたラッツィンガー枢機卿に関する出生データの、1927年4月16日4時15分という出生時刻は信頼性が高い記録に基づいているそうだ。

 したがって、数分程度の誤差範囲でホロスコープを作ることが可能だから、ナヴァームシャ・チャートやドヴァダシャームシャ・チャートといった、微細な分割図のアセンダントも使用出来る可能性が高いと思うよ。」

桃井「ローマ法王になるということはラーシ・チャートだけでなく、分割図でも強力なラージャ・ヨーガが形成されているんでしょうか?」

岩田「ローマ法王という立場は、全世界で10億人以上存在するカトリック信徒にとっての最高権威だから、ラッツィンガー枢機卿、つまりベネディクト16世のホロスコープで、日本語に訳せば「王権のコンビネーション」という意味になるラージャ・ヨーガが、強力に形成されていると期待するのは当然だ。

 でも、それだけではなくラージャ・ヨーガを形成している惑星が、ヴィムショタリ・ダシャーの支配星と密接に関係していることも期待していいと思うね。

 そして、これらの期待がラーシ・チャートだけでなく、微細な分割図でも満たされているならば、ベネディクト16世の出生時刻はその分割図の微細さに対応して、微細な正確さが保証されることになる。」

桃井「それを逆に利用するのが、分割図のアセンダントを使った出生時刻修正なんですね。」

岩田「そうだね、試しにベネディクト16世の出生時刻がどの程度正確か、複数の分割図を使って検討してみようか?」

桃井「はい、よろしくお願いします。」

岩田「最初はラーシ・チャートからいこうか。」

ベネディクト16世ラーシ・チャート

桃井「これがベネディクト16世のラーシ・チャートですね。最初に目立つのは4・9室を支配してラージャ・ヨーガ・カラカになっている強い生来的・機能的吉星の金星が、自分の支配する牡牛座に在住しています。

 しかも、金星はケンドラ・ハウスの第4室に在住し、ハウスの強さと方角の強さも持っていますから、たいへん強い金星になっています。

 それから、社会的地位を表す10室に1・12室を支配する土星が在住しヴァルゴッタマの強さも獲得しています。

 この土星が4室に在住する金星と相互アスペクトしていますから、1室の支配星と4室・9室の支配星が、ケンドラ・ハウスでアスペクトを形成するという、たいへん強力なラージャ・ヨーガになってますね。」

岩田「ラッツィンガー枢機卿がローマ法王に選出され、ベネディクト16世になったのはヴィムショタリ・ダシャーで水星・土星・ラーフ期だから、たいへん分かりやすい惑星配置だと言える。

 それにマハーダシャーの水星も、プラティアンタラーダシャーのラーフも、ラージャ・ヨーガ的に働く特別な惑星配置だから、当然と言えば当然なんだろうけど、ローマ法王になるだけの見事な惑星配置とヴィムショタリ・ダシャーのタイミングだと思う。

 今回は分割図での再現性を見るのが目的だから、ラーシ・チャートはこのへんでさっと終わり、次はナヴァームシャ・チャートに行ってみよう。」

桃井「はい。」

ベネディクト16世ナヴァームシャ・チャート

桃井「ナヴァームシャ・チャートでは、土星が9・10室を支配するラージャ・ヨーガ・カラカで、自分の支配する蠍座に在住する火星とコンジャンクションしています。

 火星は7・12室を支配して7室在住ですから、7室の支配星と9室・10室の支配星が7室でコンジャンクションという、これもかなり強力なラージャ・ヨーガです。

 ラーシ・チャートもナヴァームシャ・チャートも、アンタラーダシャーの土星が、ラージャ・ヨーガ・カラカを含んだ強力なラージャ・ヨーガをケンドラ・ハウスで形成しているという共通点を持ってますね。」

岩田「社会的に高い地位を獲得するパターンとして、ホロスコープで強力なラージャ・ヨーガが形成され、ラージャ・ヨーガを形成する惑星がヴィムショタリ・ダシャーの支配星となっているというのは、インド占星術では最も典型的で重要なパターンになる。

 このベネディクト16世のラーシ・チャートとナヴァームシャ・チャートの土星は、この社会的に高い地位を獲得するパターンの教科書的見本と言ってもいいくらいだね。

 さらにラーシ・チャートやナヴァームシャ・チャートに次いで重要な、ドレッカナ・チャートとダシャームシャ・チャートの土星も、ラーシ・チャートやナヴァームシャ・チャートと同じくらい強力なんだ。」

ベネディクト16世ドレッカナ・チャート&ダシャームシャ・チャート

桃井「これがベネディクト16世のドレッカナ・チャートとダシャームシャ・チャートですね。

 ドレッカナ・チャートもダシャームシャ・チャートもアセンダントが天秤座に在住していますから、どちらのチャートも土星は4・5室を支配するラージャ・ヨーガ・カラカになっています。

 そうするとベネディクト16世のホロスコープは、ナヴァームシャ・チャート、ドレッカナ・チャート、ヴィムシャームシャ・チャートで、土星自体がラージャ・ヨーガ・カラカという、大変強く吉星化している土星なんですね。」

岩田「それだけではなく、ドレッカナ・チャートでは9室を支配する水星とコンジャンクションしているし、ダシャームシャ・チャートでは7室を支配する火星と相互アスペクトを形成している。

 だからラージャ・ヨーガ・カラカとなっている惑星が、他のケンドラやトリコーナを支配する惑星とコンビネーションを組んでラージャ・ヨーガを形成しているという点まで、ラーシ・チャートを含めた四つの分割図すべてに共通していることになる。」

桃井「この大変強力なコンビネーションの中心となっている土星が、ローマ法王を選出するコンクラーベの時に、ベネディクト16世のアンタラーダシャーになっているというのはすごいことですね。」

岩田「これならベネディクト16世の出生時刻は、かなりの精度で正確なんだと思う。

 それからインド占星術は出生時間が正確なら、ラージャ・ヨーガのような基本的な占星術技法とヴィムショタリ・ダシャーのタイミングを組み合わせるだけで、このくらいのリーディングが出来るということだね。」

桃井「たしかにラーシ・チャートの惑星配置と、ヴィムショタリ・ダシャーのアンタラーダシャーだけでも、ベネディクト16世誕生を説明するリーディングとしては十分くらいだと思います。」

岩田「ラッツィンガー枢機卿がローマ法王ベネディクト16世になるタイミングというのは、インド占星術的に見ると社会的成功をもたらす典型的なパターンだから、バーチャルスクールの掲示板にもっと詳しい解説をしてもいいね。

 そのリーディングについては、今回はチャラカさんか桃井君のどちらかに投稿してもらうことにするかな。」

桃井「うーん、それじゃあ今回はチャラカさんにお願いしてみます。」

岩田「ふーん、でもチャラカさんは忙しいからね・・・・。

 まあ今回は、ラッツィンガー枢機卿がコンクラーベでローマ法王ベネディクト16世に選出されたかをやったけど、ベネディクト16世の人間的特徴についてもそのうちやりたいね。」

桃井「最近は研究日誌の更新が止まっていますから、そちらでやるというのはどうですか?」

岩田「うん、でも研究日誌にはラマナ・マハリシのリーディングを先にやりたいと思っているんだ。」

桃井「うっ・・、そちらの方もすごく楽しみですね。ラマナ・マハリシのリーディングの部分はビデオ録画されていなくて、参加者以外には幻の公開講座になってますから、ぜひお願いします。」




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