2005/06/28 (火)

真夜中って何時のこと?

桃井 「岩田先生、コルベ神父の伝記を読んでいて、『1894年1月8日の真夜中近くに、ポーランドのズドヴィンスカ・ヴォラに生まれる。』と書いてあったので、ホロスコープを作ってみたんですけど、あまりピンとこないんです。」

岩田 「ふーん、真夜中近くの生まれだとして、桃井君はどんな時刻を仮入力したの?」

桃井 「真夜中近くだから、午前0時から少し前かなと思って、23時30分にしてみたんですけど。」

岩田 「それでは、かなり出生時刻がずれる可能性があると思うよ。」

桃井 「えっ、どうしてですか?」

岩田 「東欧のカトリック教会、ギリシャ正教会、イスラム寺院などは、いずれも午前2時に大時計が時を知らせることから考えても、一般に『真夜中近く』という記述からは、8日の午前2時くらいに生まれた可能性がある。

 そうすると、8日の午後23時30分のホロスコープとは、22時間くらいは出生時刻がずれることになる。」

桃井 「そうするとコルベ神父のホロスコープは、出生時刻がまったく不明と同じになってしまいますね。」

岩田 「いや、逆にそれだけ違っていれば、どちらが本人のプロフィールに近いかの検討がやりやすくなる。

 だから桃井君も、1時30分と22時30分で二つのホロスコープを作って、出生時刻の検討してみればいいんじゃないかな。」

桃井 「はい、でも真夜中は午前0時と簡単に考えるのは危険なことなんですね。」

岩田 「人が1日の区切りを午前0時として、日常生活をするようになったのは、けっこう近年のことで、その生活意識の結果として、午前0時が真夜中という時間感覚が生じたんじゃないかな。

 それ以前は、午前2時くらいが真夜中という時間感覚が一般的なものだったと思う。」

桃井 「そうすると以前の日本でも、真夜中と言った場合は、午前0時ではなくて午前2時くらいを意味すると考えた方がいいんですか?」

岩田 「日本では真夜中感覚の表現として、『草木も眠る丑三つ時』とか『丑の刻参り』とかいう言葉がある。

 丑(うし)の刻は、現代では午前2時から午前4時までの時刻になる。そして丑三つ時というのは、江戸時代に登場した時刻表示法で、丑の刻を4分割してその3番目の時刻だから、現代では午前3時から午前3時30分を意味する。

 ただ丑の刻は午前一時から午前三時が対応するという説もあって、この場合は丑三つ時は午前二時から午前2時30分を意味する。」

桃井 「そうすると、日本でも真夜中というのは午前2時くらいなんですね。」

岩田 「だから、時間感覚の時代による変化を考慮しないと、有名人のホロスコープを伝記などから作ろうとする場合、出生時刻の推定を大きく誤る危険性があるから、十分な注意が必要だね。」

桃井 「コルベ神父のホロスコープを検討してみますから、後で検証つきあってくださいね。」

岩田 「マクシミリアノ・コルベ神父は、色々な意味で興味深い人だから、楽しみにしてるよ。」




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