2005/09/09 (金)

北インド式と南インド式のホロスコープ

桃井 「岩田先生、東西占星術研究所への感想&アンケートに『北インド方式、南インド方式に分けて、それぞれの希望でホロスコープを作っていただけますと、ありがたいです。』というメッセージが来ていますけど、どう思われますか?」

岩田 「東西占星術研究所のHPに来訪してくる人には、春日秀護氏の『ヴェーダ星学教本』や『インド占星学』などを読んでいて、予言力の高いホロスコープ占星術としてインド占星術を学ぶという『星学系統』と、マハリシ・ジョーテシュを最初に知って、それが北インド式のインド占星術と知って勉強を始めるという『マハリシ系統』が、東西占星術研究所の最初期からあるんだ。

 それ以外にも、青山圭秀氏の本を読んでインド占星術に興味を持った『サイババ系統』、アマチが同行して来るジョーティシャの専門家に鑑定を受けてから勉強を始めた『アマチ系統』、ミス・ペルセフォネー監修の『インド占星術の秘法』、K・N・ラオ氏の『やさしいインド占星術』、と色々な系統がある。

 その中で北インド式のホロスコープを採用しているのは、『マハリシ系統』と『秘法系統』で、日本では少数派だろうね。でも実際にインドに行ってインド占星術の鑑定を受けると、北インド式のホロスコープを作成する占星術師と出会う方が多いと思う。」

桃井 「インドでは北インド式が多いのに、日本では南インド式が多いのは、どうしてなんでしょうか?」

岩田 「それは日本で初めてインド占星術を本格的に紹介した春日秀護氏が南インド式ホロスコープを採用していたのが決定的だと思う。

 それと英語の本では南インド式ホロスコープを採用している場合が多いから、英語の本や専門誌でインド占星術を学んでいると、南インド式のホロスコープになじんでしまうことが多いんだ。

 だから、インド人のジョーティシャ・グルから直接インド占星術を学ぶ人は、北インド式になる場合が多く、英語の本や専門誌でインド占星術を学ぶ人は南インド式になることが多いんじゃないかな。」

桃井 「北インド式のホロスコープと南インド式のホロスコープでは、表示形式の違い以上の違いがあるんですか?」

岩田 「北インド式はアセンダントの在住する星座を頂点に固定する、ハウス位置固定式ホロスコープで、南インド式は左上方の角を魚座に固定する、星座位置固定式ホロスコープというのが本質的な違いになっている。

 北インド式ホロスコープは、アセンダントを左に固定表示する西洋占星術の円形ホロスコープと、ハウス位置固定のホロスコープという意味では近い存在だね。

 アセンダント位置固定のホロスコープは、各ハウスに在住する惑星配置を検討するには、大変利用しやすい表示方式になる。

 だから北インド式ホロスコープは、惑星が在住する星座よりも惑星が在住するハウスを重要視するインド占星術の特徴と関係しているかもしれないね。」

桃井 「でも、西洋占星術でもアセンダント位置固定のホロスコープですし、南インド式ホロスコープは星座固定式ですから、ハウス固定式ホロスコープは星座よりもハウスを重視することになるんでしょうか?」

岩田 「それはなかなか的確な良い質問だね。

 西洋占星術ではアセンダントを第1室の起点や中央とするハウス・システムしか存在していないけど、インド占星術では月や太陽の在住する星座を第1室として使用するハウス・システムも重要視している。

 だから東西占星術研究所では、『アセンダント=ラグナ』という言葉の使い方はしていなくて、『ラグナとは、それが在住する星座を第1室とすることが可能な、天文学的特異点(占星術的感受点)である。』と定義して使っている。

 だから、『アセンダント・ラグナ』、『月(チャンドラ)・ラグナ』、『太陽(スーリヤ)・ラグナ』などの言葉を使用する。それだけでなく結婚について検討する時などは、恋愛や結婚の表示体である金星を『金星(シュクラ)・ラグナ』として使用したりする。

 それに東西占星術研究所のリーディング・スタイルは、高度なハウス展開の技法を使いこなすことが特徴で、通信講座のテキストにも羽田先生が残された、ハウス展開の技法に関する重要な実占ノウハウが収録されている。

 そういう意味では、『アセンダント=ラグナ』という北インド式ホロスコープのハウス表示では、ラグナを自由に移動させてリーディングする東西占星術研究所のスタイルにとって、ある意味不便さを感じてしまうんだ。

 まあ、北インド式ホロスコープを採用するということは、アセンダント・ラグナだけでハウスを検討するインド占星術のリーディング・スタイルを意味することになるんじゃないかな。」

桃井 「たしかに、アセンダントから見て第何室、月から見て第何室、金星から見て第何室と複数のラグナから検討する時は、『アセンダント=ラグナ』として固定されている北インド式ホロスコープや西洋占星術の円形ホロスコープは、便利さが感じられなさそうですね。」

岩田 「12ハウスの起点となる第1室の星座を、ハウス展開によってどんどん移動させ、複雑なホロスコープ・リーディングを展開していくのは、インド占星術ならではの醍醐味だよね。

 そういう時に、四角形のホロスコープの四つ角が変通星座(柔軟星座・両義星座・共通星座とも表記)に固定されていると、高速なリーディングが可能になるんだ。」

桃井 「たしかに岩田先生の、第何室の支配星が第何室に在住して、第何室にアスペクトという、ホロスコープ・リーディングのスピードはとても速くて、リーディングに付いて行くのが大変なんですよね(ため息)。」

岩田 「うん、私も羽田先生のホロスコープ・リーディングに付き合い始めた時は、全然そのスピードに付いて行けなくて、しょっちゅう『おねがいですから、もっとゆっくりとやってください。』って頼んでたから、桃井君の気持ちはよく分かるな。

 でも自分の経験から言っても、プロの高速リーディングに付いて行く努力というのは、英語の速読・速聴トレーニングと同じように、想像以上のリーディング能力のアップが可能になるんだ。

 だから研究員の桃井君としては、がんばってスピードに付いて来て、リーディング能力の高速な進歩を遂げてほしいね。」

桃井 「たしかに岩田先生に、自分のリーディング・スピードより一歩速いスピードで、ホロスコープ・リーディングしてもらうと、思考が速くなるような感じを経験出来るんですよね。

 そういった意味では、自分のスピードより速いホロスコープ・リーディングに付いて行く経験の出来る個人指導は、受けるメリットが大きいと思います。」

岩田 「そうだね、それにハウス展開の技法を多用するホロスコープ・リーデンィグに習熟すると、瞑想において観想の意識点を自在に移動させる能力がアップするという副次的な効果もある。

 まあ、桃井君も余裕が出来たら、北インド式ホロスコープでのリーディングに慣れる練習をするといいね。これも思考の柔軟性や自由度をアップさせるトレーニングとしての効果が高いから。

 それにインドに行った時などは、北インド式のホロスコープを使う人から、インド占星術の教えを受けるのに不便だし。」

桃井 「はい。

 それじゃあ、感想&アンケートに対する岩田先生の回答としては、

『北インド式のホロスコープに慣れている人も、東西占星術研究所の採用している南インド式ホロスコープに慣れてください、多くのメリットがありますから。』

ということになるんでしょうね。」

岩田 「うん、茶羅加さんはいつも急がしそうで、北インド式と南インド式の希望を分別して、無料チャート・サービスに対応する余裕は無いみたいだし。」

桃井 「ところで、9月25日の公開講座は午前の部が西洋占星術の講座ですけど、どんな内容になるんですか?」

岩田 「東西占星術研究所では、ラヒリ・アヤナムシャのサイデリアル12星座、星座=ハウスというハウス・システムを基本としたインド占星術は、予測能力も高く理論的に美しい占星術だと考えている。

 だけど、西洋占星術で発達した技法の中にも優れた技法が多く存在していると評価しているよね。

 だから東西占星術研究所が採用しているインド占星術のリーディング・スタイルに、西洋占星術の優れた技法を理論的に正しく組み込んでいくノウハウを開発する研究を進めているんだけど、研究もある程度進んで来たので、今回その一部を発表することにしたんだ。

 だから午前の部は西洋占星術からもインド占星術からも興味深い内容になっていると思うよ。」

桃井 「それじゃあ、今回も録画ビデオを楽しみにしています。」




談話室過去ログへ