2010/11/20 (土)

ミニ講義 −クリエイターの作品量を決定するもの(bR)−

岩田 「この最初に掲載したホロスコープは、スペインの画家パブロ・ピカソのものだ。

彼は、彫刻や陶芸,版画など広く作品を手がけたけど、あくまでもその本質は画家だったと思う。

ピカソもカポーティと同じように早熟の天才で、抜群の描写力を持っていたけど、新しい造形の可能性に挑み、破壊と新しい創造を繰り返し、その変貌の激しさに「カメレオン」「怪物」などと呼ばれた。

ピカソは、物資の乏しい戦時中も作品を画き続け、また晩年に至ってもその創作活動は活発で、彼が生涯にのこした作品は2万点以上と言われている。」

桃井 「なるほど、カポーティと対極的な創作活動のスタイルですね。」

岩田 「ピカソは第1室の支配星が月で、その月は第5室に在住。

これはカポーティの第1室の支配星と月が第10室に在住するのと同じ組み合わせだけど、ピカソはそれが芸術や創造性の第5室在住になっており、カポーティはそれが社会的地位の第10室になっている。

これは前回言ったとおり、カポーティは第10室の意味する高い専門性の達成による社会的地位の達成というテーマでの充足を人生の中で常に意識させられることになる。

それに対してピカソの場合は、第5室の意味する芸術や創造性によって自己実現を達成するというテーマの達成とそれによる充足を人生の中で常に意識させられる、ということを意味している。」

桃井 「2人の人生の生き方のあざやかな対比が、ホロスコープの特徴のあざやかな対比になっているという実例としては、そのわかりやすさに感心しちゃいます。

これなら、第1室の支配星や月といったその人を代表する表示体である惑星が、どのハウスに在住するかをチェックするというシンプルな技法が、その人の深い本質的特徴を表してしまうことがしばしばあるということを、HPを読みにこられた皆さんにも納得してもらえますよね。」

岩田 「一言でシンプルな技法といっても、簡単な技法と基本技法に分類される。そして、どんなに高度で奥深い技法であっても、基本技法という土台の上に成立している。

だから、基本技法に対する深い理解が無ければ、いくら高度な技法の知識を集めても、実占の基本的精度が高くなるわけではない。

今回のリーディングでは、『第1室の支配星』と『月』の両方が1つのハウスに在住しているから『○○というテーマの達成とそれによる充足を人生の中で常に意識させられる。』とリーディングしたけど、これが『第1室の支配星』だけが在住する場合や、『月』だけが在住する場合は、『○○というテーマの達成とそれによる充足を人生の中で常に意識させられる。』という表現が精妙なレベルでは適切でなくなる。

ついでに言えば、『その人を代表する表示体である惑星』という表現に対しては、『第10室の支配星』・『太陽』・『アートマカラカ』なども、その候補に該当する。

そして、そのような惑星が『第1室の支配星』や『月』と組み合わされて1つのハウスに在住した場合でも、『○○というテーマの達成とそれによる充足を人生の中で常に意識させられる。』という表現は、やはり精妙なレベルでは適切でなくなってしまう。」

桃井 「はい、その辺はそういわれると『なるほど確かにそうなんですよねぇ〜、うん。』とは思えるようにはなっているんですけど、それを具体的な言葉として表現がまだ出来ません。

『基本の中に秘儀はある』という言葉は、岩田先生に最初の頃から何度となく言われ続けて来ましたけど、本当にそうだな〜って思えるようになったのは、ほとんに最近です。」

岩田 「基本技法というのは知識として書けば、誰でも知っている知識でしかない。だから知識のコレクションがインド占星術の上達だと思っている人には、基本技法を見下す人が多い。

確かにインド占星術には数多くの奥深い技法があり、それらを多く学んでいくことによって、比例的にリーディングの実力が上達していくという面がある。

でも、そういった上達は意外なレベルで頭打ちになるから、どこかで基本技法の精妙な用法を学ぶという地道な努力に立ち返る必要があると思う。

そして、その段階に来た人に対してブレイク・スルーの手掛かりを提供するのが、東西占星術研究所の役割の1つではないかと思っているんだけどね。」




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