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検証 占星術

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アシュタカヴァルガ

●吉凶論

西洋占星術は「人生は自分の自由な意思によって決定されている」と説く。
インド占星術は「人生は過去世からのカルマ(宿命)によって決定されている」と説く。

 西洋占星術では、人生上のいろんなテーマについて、吉凶を鑑定するのは難しい。しかし、インド占星術では、それぞれのテーマにおける吉凶を決定できるだけでなく、どのくらい吉でどのくらい凶か、その程度まで鑑定することができます。つまり、西洋占星術の場合、テーマはわかっていても、それが実際に良い方向で現れるか、悪い方向で現れるか予想できないという欠点があります。

よって、西洋占星術は

 「人生は自分の自由な意思によって決定されている。その惑星のエネルギーを良い方向で使うか、悪い方向で使うかはその人次第である。」

と主張するのです。

 一方、インド占星術の場合、吉凶を鑑定する技法を有しています。そのため、今起ころうとしているテーマがわかるだけではなく、その吉凶および現象化する時期を知ることが可能とされています。

 そのカルマの流れ(吉凶)については、全く逆にひっくり返すことはできません。しかし、ほんの少しカルマを改善するための方法はあります。例えば、ものすごく貧しくなるカルマの人が大富豪になることは不可能ですが、そこそこ生活していける程度なら可能ということになります。

 よって、インド占星術は、

 「人生は過去世からのカルマ(宿命)によってほとんど決まっている。 ただし、ほんの少しは変えることができる。」

と主張するのです。

○自由意思論とカルマ論、どちらが正しいか?

 西洋占星術は、確実に吉凶を決定する技法、つまりカルマの良し悪しを見極める技法を有していないため自由意思論を説き、インド占星術はその技法を有しているためカルマ論を説く。

 それでは、本当にインド占星術に現象の吉凶、カルマの良し悪しを見極める技法が存在しているのか。これについては、実例を見ていただくのが手っ取り早い方法でしょう。

 最初にご紹介する占星技法は、インド占星術のトランジット解読の秘儀、アシュタカヴァルガです。

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●アシュタカヴァルガ ―トランジットで日本の経済状況がわかる!―

○インド占星術のトランジット解読の秘儀

明治憲法のグラフ

太線:トランジットの木星・土星の惑星配置から算出した日本のバイオリズム
点線:経済成長率の推移

 図の点線は日本の経済成長率の推移を示すグラフです。そして、太線は東西占星術研究所が惑星配置から独自に割り出した日本のバイオリズムです。これを見ていただければ、そのバイオリズムの確かさは一目瞭然でしょう。また、念のためお断りしておきますが、このグラフの作成にあたっては、USAの占星家メリマン氏が経済予測に使用しているような、占星術以外のサイクル理論などは一切使っていません。インド占星術の古典に記されているアシュタカヴァルガという技法を応用して導き出した数値をグラフ化したものです。

○アシュタカヴァルガ(Ashtakavarga)とはなにか

 アシュタカヴァルガは、その人(国、団体)にとって、どの星座(=ハウス)が強くどの星座が弱いかを、ある特殊な方法によって計算し、出生図中の各星座の強弱をビンドゥと呼ばれる数値として表現する技法です。“ビンドゥ”はサンスクリット語で“点”を意味します。ここでは、功徳のポイント、あるいはラッキー・ポイントと考えていただければ良いでしょう。この点数が多い星座ほど吉で、少ない星座ほど凶になります。

 アシュタカヴァルガの利用方法は様々ですが、もっとも重要な利用方法は、トランジット法における吉凶の分析です。トランジット法は、天空を通過中の惑星が出生図に与える影響を分析し、現象を予測する技法です。トランジット(天空を移動中の)惑星が、出生図中の各星座を通過する時に、高いビンドゥ値の星座を移動するときには良いことがあり、低いビンドゥ値の星座を移動する時には悪いことがあります。

○惑星アシュタカヴァルガ(Binnashtaka Varga)

 アシュタカヴァルガには、「惑星アシュタカヴァルガ」「総合アシュタカヴァルガ」が存在します。

 惑星アシュタカヴァルガは、同じ星座であっても、惑星ごとにビンドゥの数値が異なります。惑星アシュタカヴァルガの各星座におけるビンドゥの最小値は0、最大値は8、平均値は4です。各惑星の惑星アシュタカヴァルガのビンドゥの総数は一定で、惑星によって、若干数が異なっています。例えば、大吉星の木星の場合は総数56、12の星座で割ると、平均ビンドゥ値は4.6/星座になります。また、凶星の土星と火星はそれぞれ総数39、平均ビンドゥは3.25/星座です。

 ビンドゥの数値ごとの評価は次のようになります。

8−際立ってすばらしい
7−非常にすばらしい
6−大変良い
5−良い
4−普通
3−やや悪い
2−悪い
1−非常に悪い
0−悲惨

 この惑星アシュタカヴァルガによって、どの星座がそれぞれの惑星にとっての吉星座なのか、あるいは凶星座なのか、そしてその程度はどのくらいかを知ることができるのです。

○総合アシュタカヴァルガ(Samdaya Ashtakavarga)

 総合アシュタカヴァルガの場合は、同一の星座の中では、どの惑星でも同じビンドゥの数値になります。総合アシュタカヴァルガは、7つの惑星(太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星)のそれぞれの惑星アシュタカヴァルガのビンドゥを、星座ごとにすべて合計した数値です。総合アシュタカヴァルガの平均値は28です。よって、それ以上ビンドゥが多ければ吉、少なければ凶です。

 惑星のトランジットを分析する時は、惑星アシュタカヴァルガと総合アシュタカヴァルガの両方を考慮する必要があります。惑星アシュタカヴァルガ/総合アシュタカヴァルガの平均は4/28と表現することができます。双方のアシュタカヴァルガでこの値以上ビンドゥが多ければ吉、少なければ凶。

○もっとも日本の状況をよく表しているのは大日本帝国憲法図

 ところで、今回ご紹介した、日本のバイオリズムの基本となっているホロスコープは、1889年2月11日午前8時30分、大日本帝国憲法(通称、明治憲法)が公布された時のものです。 ここで、ご紹介した日本のバイオリズムは、この建国図を基本にアシュタカヴァルガを計算し、トランジットの木星と土星の各惑星アシュタカヴァルガと、総合アシュタカヴァルガの数値を(8で割って)基準化して合計し算出したものです。

 「いつの時点を日本の始まりとするか」については、日付、時間とも議論の分かれるところですが、今までのところ、私の研究では大日本帝国憲法が発布された日の、午前8:30がもっとも有力なポイントの一つといえます。

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●サイデリアル星座は強力に作用する

○検証 サイデリアル方式とトロピカル方式

 そして、大日本帝国憲法図のホロスコープでサイデリアル星座を用いた場合のみ、上記のグラフのように、見事に現象とマッチするということが検証の結果から判明しました。元来土星はパワーを表し、木星は威厳や保護を表します。それゆえ、トランジットの土星と木星のアシュタカヴァルガのビンドゥ値の合計は、その国の状況をもっともよく表す、経済成長率の推移と一致するのでしょう。

 また、トロピカル星座帯で作成した、大日本帝国憲法図のホロスコープをもとに同様の検証をしてみました。しかし、サイデリアル星座帯で作成したものほど明確には、日本の経済成長率とのつながりを見つけ出すことができませんでした。下の図は、サイデリアル方式、トロピカル方式それぞれでもとめた大日本帝国憲法図を基準にした、トランジットの木星・土星のビンドゥ値と、日本の経済成長率の推移を示すグラフとの対比です。

グラフ2

 また、サイデリアル星座帯とトロピカル星座帯、それぞれで作成した日本国憲法図(平和憲法図)でも同様に検証してみましたが、ほとんど関連性が見られませんでした(下記グラフ参照)。

 歴史的背景を考えると、日本国憲法はUSAからの「押しつけ憲法」なので、日本の状況をさほど強く表示しないのかもしれません。むしろ、日本国憲法は、USAの植民地としての、記念日的な役割を果たしているのかもしれない。もしそうなら、この憲法図は、USAとの関わりにおいて重要になってくる可能性はあります。あるいは、USAの立場からの植民地としての日本を表示しているのかもしれません。その真偽について結論を出すためには、さらに十分な研究が必要でしょう。

 下の図は、サイデリアル方式、トロピカル方式それぞれでもとめた、日本国憲法図(平和憲法図)の木星・土星のビンドゥ値と日本の経済成長率の推移を示すグラフとの対比です。

グラフ3

 今回、サイデリアル星座システムの占星技法アシュタカヴァルガの最初の実例として憲法図を用いた理由は、経済成長率のような客観的な数値との対比で表現したほうが、トランジット惑星の作用の良し悪しや強弱を客観的に証明できると考えたからです。

○より正確な経済予測を

 このアシュタカヴァルガを応用した技法や、その他のインド占星術の高度な技法を使えば、経済的な変動の推移をかなり長期のサイクルに渡って理解することができるだけでなく、株式相場や為替相場において「相場が上昇するのか、下降するのか、変化しないのか」を知ることも可能ではないかと考えています。

 一方、一部の西洋の占星家が、アスペクト、トロピカルでの星座移動、惑星の逆行現象などを用いて経済動向を探る研究をしていますが、一般的な西洋占星術では、変化する可能性がある時期がある程度わかったとしても、「相場が上昇するのか、下降するのか、変化しないのか」については、実際に近い時期になってみなければわからないという欠点があります。

 これについては、経済予測をおこなっているUSAの占星家メリマン氏は1999年のフォーキャスト(皆川弘之訳、投資日報出版社)の中で、西洋占星術の限界について、次のように告白しています。

 「実際、短期の相場反転に関しては占星学(術)ほど有効なものはない。
しかし、残念ながら、その相場の反転が高値からの反落か、あるいは安値からの反騰かは占星学単独では明確ではない。」

 そのため、西洋占星術を経済の方面で利用するためには、メリマン氏のように、経済のサイクル理論に精通し、最近の経済状況なども把握していなければならないでしょう。 しかし、インド占星術のアシュタカヴァルガを使えば、トランジットだけでもかなりのことがわかります。さらに、インド占星術にはアシュタカヴァルガ以上に優先される技法が多数あります。もちろん、経済占星術をやるつもりなら、経済に関する知識はあるに越したことはないでしょう。

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文:Hada Yoji 編集:Charak

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