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検証 占星術

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ナヴァームシャの重要性

●ナヴァームシャ(9分割図)

 インド占星術ではナヴァームシャ(9分割)を大変重要視している。 また、それ以外の分割図もホロスコープの解読には欠かせない要素です。

 しかし、これは非常に驚くべきことなのですが、世界中の西洋占星術家はもちろんのこと、本場のインドや最近インド占星術が盛んなUSAにおいてさえ、ナヴァームシャをまともに使える占星家が非常に少ないようです。

 インドに故 Dr.BVラーマン(B.V.RAMAN)という偉大な占星家がいました。彼は、第2次世界大戦が勃発する1年くらい前から、ヒットラーの野望、ムッソリーニの協力、フランスの崩壊や日本の極東政策などその詳細を予言し、的中させるという偉業をなしとげました。彼ですら、その膨大な数の著書があるにもかかわらず、その著書には、ナヴァームシャやその他の分割図を使用したチャート解読例をほとんど載せていません。彼の場合は、使用していたアヤナームシャに間違いがあったため(これは、多くの占星家の共通の認識です)、ナヴァームシャなどの分割図を使用することができず、したがって分割図についての解説をあまり残すことができなかったという事情があるのかもしれません。

 また、USAにインド占星術ブームの火付け役となったジェームス・ブラハ(JAMES T.BRAHA)という占星家がいます。彼は西洋占星術とインド占星術の両方に通じる大変優れた占星家です。しかし、その彼でさえナヴァームシャの正しい使用法を理解できていないようなのです。彼はその名著「ANCIENT HINDU ASTROLOGY FOR THE MODERN WESTERN ASTROLOGER」の中で次のように述べています。

 「しかしながら、ナヴァームシャはオリジナルのホロスコープをもとに計算されたものであって、実際のホロスコープではないということは心に刻んでおく必要があるだろう。それゆえ、何人かの占星家たちはナヴァームシャの中のアスペクトやコンジャクションを使用しているようだが、ナヴァームシャは、そのような使い方をされるべきではない。また、惑星がナヴァームシャの星座に在住しても、ナヴァームシャの惑星には度数はないのである。」

 ようするに、ブラハは「ナヴァームシャの中の惑星はハウスや星座の位置のみを使用すべきで、コンジャクションやアスペクトを使用するような、ラーシを解読するのと同じような解読の仕方をするべきではない」と言っているわけです。しかし、これは事実とは全く違っています。私は今まで自分で研究してきた結果から、「ナヴァームシャの中でもアスペクトやコンジャクションを使用可能である」と断言できます。ラーシがもっとも重要であることは念頭に入れておく必要がありますが、ナヴァームシャはその人のより深い(真我に近い)部分を表すホロスコープとして、ラーシの次に重要なホロスコープです。ときには、ラーシでの表示以上にナヴァームシャの表示が優先されることもあります。

 ラーシ(通常の出生図)と同じように、ナヴァームシャ単独でアスペクトやコンジャクションなどを使って解読することができるし、ラーシと関連させて解読することもできます。さらに、私の知る限り、これは伝統的なインド占星術では考慮されないことではありますが、私の研究によるとナヴァームシャにおける度数もそのアスペクトの強弱に影響を与えています。

 それでは、事実はどうなのかについて、いつものように検証してみましょう。

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●【実例】結婚関係がうまくいかない女性のケース

 このチャートは結婚関係がうまくいかず悩んでいるある女性のチャートです。以前に婚約していた男性とは結婚の直前に死に別れ、現在の旦那は浮気ばかりしていて、お互いに離婚を考えている状況です。

木星 ASC   ラーフ
ラーシ  
土星  
ケートゥ   火星 金星
太陽

 ラーシの牡羊座アセンダントの支配星は火星。結婚を表示する7室・天秤座に在住しているので、結婚問題や配偶者に関連するカルマ(宿命)が強いことを表しています。しかし、彼女の7室の支配星であり、もともと配偶者の表示体である金星は、6室・乙女座で最低星位に入っています。そのため、7室のテーマである結婚や結婚相手についてのカルマはあまりよいとはいえません。6室は結婚や結婚相手を表す7室からの12室目(12室は損失を表す)なので結婚相手を失うハウスとも読めます。また、6室は喧嘩や事故を表すハウスでもあります。また、 土星は7室に対してアスペクトを形成し、さらに逆行しているため、1つ前の星座からもアスペクトを投げかけます。したがって、7室の支配星である金星に対してもアスペクトを形成することになります。これも結婚問題における葛藤を表しています。  


火星
ラーフ 太陽 ASC
  D-9 金星
木星 土星
水星   ケートゥ  

 次に、ナヴァームシャ(D-9)を検討してみましょう。
 ナヴァームシャのアセンダントは双子座です。したがって、アセンダントの支配星は水星となりますが、この水星も、ラーシでのアセンダントの支配星・火星と同様に、対向の7室に在住しています。これにより、ラーシでの傾向である、結婚問題や配偶者に関連してのカルマが強いことを再確認できます。さらに、7室の支配星は木星ですが、この木星は苦悩や事故を表す8室・山羊座で最低星位に入っています。これも結婚や結婚相手との問題について、ラーシと同様の傾向を再確認できます。また、土星は逆行するため、1つ前の星座(蟹座)から7室の支配星で8室・山羊座に在住の木星に対してアスペクトを投げかけています。これによってもラーシ同様に、結婚問題における葛藤を再確認できます。

 以上のことから、彼女のナヴァームシャは、ラーシで示されている結婚運についての傾向をより確実に表示する役割を果たしいます。

 

●チャートの優先度

 いかがでしょうか。ナヴァームシャがラーシと同様に有効なチャートであり、チャート解読においても、アスペクトやコンジャクションなど、ラーシを解読するのと同じように解読できることがご理解いただけたと思います。たとえば病気について見る場合は、ラーシ、ナヴァームシャの他に、第3分割図・ドレッカーナ、第12分割図・ドヴァダシャームシャも加えて検討します。また、乗り物について検討するときには、さらに第16分割図・ショダシャームシャも加えて検討します。これらの分割図も実によく作用しています。それにより、それぞれ個別のテーマについて、どの惑星の時期には、何が良くて何が悪いのかを理解することができます。

 分割図を検討するときには、必ず最初にラーシを検討し、次にナヴァームシャを検討します。その後、それぞれ関連する分割図を加えて検討していきます。それにより、ラーシだけでは理解できない微細な部分についての理解も可能となるのです。

文:Hada Yoji 編集:Charak

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