受講生の卒業レポート「J.クリシュナムルティ」レヴァティ研究員 1.惑星の強さとそこから見られる特徴
太陽:出生図では第8室の支配星で機能的中立です。第4室の牡羊座在住で高揚の度数を外していますが、強い惑星です。しかし、同時に第4室で方角の弱さも獲得しています。又、ケンドラ在住のため、強い影響力を持ちます。ナヴァームシャでは第1室を支配し、第5室に在住し、機能的吉星で強い惑星となっています。太陽が強いことから、威厳があり、力強く、エネルギッシュで、精神的に純粋で、苦痛や恐怖に耐える精神力を持ち、指導力があった人であることが読み取れます。 月:月は欠けゆく月ですが、十分な明るさがあるため生来的吉星です。出生図では第7室支配星で機能的凶星です。第12室に在住し、火星と土星のアスペクトを受けて大変傷ついています。ナヴァームシャでは第12室支配星で機能的に中立です。ナヴァームシャではそれほど悪くないものの、出生図では大変傷ついているため、心が大変傷ついていたことが読み取れます。 火星:出生図では第4室と第11室を支配し、機能的凶星です。第6室に在住し、傷ついています。第6室在住のため、逆境や病気と闘う力強さを与えています。ナヴァームシャでは第4室と第9室を支配し、ラージャ・ヨーガ・カラカで機能的に吉星化しています。しかし、第8室に在住し傷ついています 水星:凶星により傷つけられていないので生来的吉星です。出生図では第6室と第9室を支配し、機能的吉星となります。しかも第5室在住で非常に幸運でとてもいい状態にあります。又、金星と星座交換しているため、自室に在住しているような強さも獲得しています。ナヴァームシャでは第2室と第11室を支配し、機能的凶星です。出生図で、金星と関係し、第5室と第9室と関係するため、とても音楽、芸術、アートを好んだことが読み取れます。また、生涯にわたり、多くの手紙を書き、詩や執筆をしたことはこの水星の力によると思われます。 木星:出生図では、第3室と第12室の支配星し、機能的凶星です。ムリチュバーギャから1度以内、凶星の火星とコンジャンクションし、傷ついています。ナヴァームシャでは第5室と第8室を支配し、第6室で減衰し、ヴィーパリータ系のラージャ・ヨーガを形成しています。 金星:出生図では機能的にも生来的にも吉星で第5と第10室を支配するラージャ・ヨーガ・カラカとなっています。しかし、第6室在住で火星とのコンジャンクションによりとても傷ついています。ナヴァームシャでは第3室と第10室支配の機能的凶星です。第4室に在住し、自室にアスペクトし、吉凶混合です。 土星:出生図では第1室と第2室を支配し、機能的吉星です。第10室の天秤座で高揚し、彼の人生にとても強い影響力を及ぼしたことが考えられます。ナヴァームシャでは第6室と第7室支配のマラカであり、ドゥシュタナの第6室に在住し、とても凶悪です。しかし、シャド・バラが1.90と非常に高く、出生図では高揚し第10室に在住することから彼に高い地位や名誉、宗教的実践の力、忍耐強さを与えました。 ラーフ:出生図では木星のアスペクトを受けているため吉星化しています。ナヴァームシャではウパチャヤの第11室在住で困難に立ち向かう強さを与えています。 ケートゥ:出生図では第8室に在住するため極めて凶星的です。ナヴァームシャでは第5室で第1室支配星の太陽とコンジャンクションしており、木星支配の射手座に在住しているため吉星化しています。 2.ヨーガ●シャシャヨーガ土星がシャシャ・ヨーガを形成しており、試練・出離・大衆へのアピール・権力・惨めさ・リーダーシップ能力、物質的・身体的な快適さの享受と苦悩が彼の生涯をよく現しています。第10室で形成されているため、社会的に非常に目立ち、高い地位と名誉、不名誉・汚名も与えました。このヨーガは土星が高揚の星座にあり、アセンダントと太陽ラグナの両方から形成され、しかも第1室の支配星で、高揚の太陽のアスペクトを受けているため、並外れて強力です。又、以下の古典的象意もよくあてはまります。
●ガージャ・ケサリ・ヨーガこのヨーガは形成されていますが問題はそのクオリティです。月も木星も「1.惑星の強さ」に書いたように弱っています。ただ、ラージャ・ヨーガ・カラカの金星と関係しているため、ある程度力を得ていると思われます。永続する名声・学識・政治や宗教組織の長という点は事実のとおりです。 ●グル・マンガラ・ヨーガ古典の定義ではコンジャンクションがによりこのヨーガは形成されますが、相互あアスペクトでも似たような効果があります。クリシュナムルティは実際に高い地位を獲得しています。学識・敬愛される・教師・指導者という点では事実の通りです。 ●チャンドラ・マンガラ・ヨーガ古典の定義ではコンジャンクションがによりこのヨーガは形成されますが、相互あアスペクトでも似たような効果があります。良い収益と財産の蓄積ついて、クリシュナムルティ自身は個人での所有は拒否していますが、実際には財団を形成し、収益を得ています。ただ、第6−12室軸で形成されているため、争い、訴訟、苦悩、困難が伴っています。 ●ケマドルマ・ヨーガ、カルパドルマ・ヨーガヨーガは形成されていますが、月からケンドラに惑星が3つ在住しているため、緩和されています。また、アセンダントから数えてケンドラに土星が在住するのでカルパドルマ・ヨーガを形成しています。
●ラージャヨーガ出生図・第5室と第10室支配星金星と第7室支配星月の相互アスペクト ナヴァームシャ・第1室支配星太陽と第5室在住ケートゥのコンジャンクション ●ダーナヨーガ出生図
1/2ダーナ・ヨーガ ナヴァームシャ
・第1室支配星太陽と第5室在住のケートゥのコンジャンクション 3.全般的傾向
●第1室出生図では、第1室支配星の土星が第10室で高揚しているので、社会的影響力が強い人です。健康に関しては生来的凶星のため、凶意が強まり、あまりよくありません。しかし、それは逆行しており、第8室支配星の生来的凶星の太陽のアスペクトを受けています。ナヴァームシャでは第1室支配星は第5室に在住し、いい状態にありますが生来的凶星のケートゥによりやはり傷ついています。また、月の状態もあまりよくないため、総合的にあまり健康ではありません。特に幼少時は生死を彷徨う病気をしています。しかし、第10室はウパチャヤ・ハウスなのでそこに入る凶星は病気と闘う力があるので、病気を乗り切り活動的に生きたと思われます。第1室のカラカである太陽も高揚の座に位置し、病気になりつつも、長く生きたと思われます。 ●第2室幼少時の家庭環境はラーフが在住しているため、あまりよい環境ではなかったと思われます。病気、繰り返しの引越し、母親の死など混乱に満ちたものでした。また、生来的吉星の木星のアスペクトがあるので救われる部分もあったと思われます。しかし、大変傷ついた機能的凶星の木星なので厳しい環境であったと思われます。 スピーチに関しては丁寧であるが辛辣な面も多くありました。これはラーフの在住から説明されます。しかし、木星がアスペクトしているので正直で誠実でした。 顔に関しては第2室が水瓶座であることから整ったハンサムな顔立ちをしています。ラグナが山羊座で社会的イメージである第10室に土星が在住することから、多くの写真に見られるように厳しく、深刻そうな顔をしていました。 ●第3室第3室には惑星は在住していませんが、逆行の土星のアスペクトを受けています。逆境に打ち勝つ勇気と力強さがあります。第3室支配星の木星は極めて傷ついており、第3室支配星、第3室ともに土星のアスペクトを受けており、弟の健康状態は極めて悪いものでした。実際、若くして亡くなりました。 ●第4室高揚の太陽が在住し、とても宗教的、精神的です。母親を愛し、母親には恵まれていました。第8室支配星の太陽が第4室にあり、ケートゥが第8室に在住することからサンニヤシン的な特徴が読み取れます。不動産に関して第8室支配星であり、敵対星座でもあるので様々な問題もありましたが、高揚していたので恵まれました。 ●第5室第9室支配星の水星が第5室に在住することから、とても幸運であり、収入にも恵まれ、精神的でした。アートを好み、水星の象意から手紙や文章を書くことを好み、趣味的な面もありました。また、結婚はしなかったので子供には恵まれませんでしたが、子供たち(第5室)を愛し、教育(水星)に力を入れました。 ●第6室第6室に3つの惑星が集中し、ラーフと逆行土星と月のアスペクト集中を受けているため、彼の人生はとても闘争的で、訴訟と多くの病気に襲われ、波乱に満ちた人生であったことが読み取れます。木星は戦いに強く、理想や宗教的な妥協をしないために戦いました。 ●第7室結婚に関して、第7室は生来的凶星の土星によって傷つけられており、支配星の月は第12室に在住し傷ついていて、結婚に恵まれませんでした。同時に土星は第1室の支配星なので対人運が良いところもありました。第7室(海外移住)支配星が第12室(異郷の地、移住、外国)に在住することから、外国に移住しました。又、人(第7室)を深い霊性・スピリチュアリティ(第12室)に導く力を持っていました。 ●第8室寿命の第8室の支配星は第4室で高揚し、強かったので90歳まで生き、長寿でした。また、神智学協会に見初められる、生涯年金を受けるなどして不労収入にも恵まれました。しかし、凶星のケートゥが在住することから病気にも苦しみました。ケートゥ(精神性)と第8室(霊的な研究と達成)からとても霊的な人でした。同時に苦悩も多くありました。 ●第9室第5室で書いたとおり、とても精神的であり、教師でした。父親に関しては、ケートゥと土星に挟まれ、パーパ・カルタリ・ヨーガを形成しているため、父親の健康はあまりよくなかったことが読み取れます。 ●第10室第1室支配星の土星の高揚から、社会的成功、高い地位・名声が読み取れます。仕事が人生の中心テーマでした。 ●第11室機能的にも生来的にも吉星である水星のアスペクトを受けています。このことから高い社会的地位や名声、収入を得ました。第11室支配星の火星は第6室に在住し、長年、収入の面でラージャゴパルとの訴訟問題に悩まされました。同時に第5室支配星の金星ともコンジャンクションし、ダーナ・ヨーガを形成していたのでやはり収入には恵まれました。 ●第12室月(心)と第12室(解脱、外国)から、心は解脱、解放、外国に関心が向いていました。 4.人生の重要な出来事
●母親の死1905.12 金星-水星-土星 ●リードビーターとの出会い1909年4月22日から6月の間に神智学協会のトップ、アニー・ベザント夫人の片腕、リードビーターに発見される。この時期は金星-ラーフ-土星期か金星-ラーフ-水星期にあたる。おそらく以下の理由により金星-ラーフ-土星期に発見されたと思われます。 ●アニー・ベサント夫人との出会い1909年11月27日 神智学協会トップのベサント夫人と出会いました。ダシャーは金星-ラーフ-ケートゥでした。ラーフのディスポジターである土星とケートゥのディスポジターである太陽はお互いそれぞれ、第10室、第4室に在住し、相互アスペクトし、両惑星とも高揚の星座に在住しています。ケンドラで強力な関係ができていることから、ケンドラの意味する守護された状態になったと読み取れます。また、リードビーターのときと同様、土星は第7室と関係し、運命的出会いを意味しています。 ●星の教団トップになり、ロードマイトレーヤー(弥勒菩薩)最初の顕現1911年12月28日 クリシュナムルティが星の教団総会で威厳と品位を現し、以後聖なる日となりました。 ●世界教師としての最初の顕現1925年12月28日 太陽-金星-金星期、太陽は高揚の星座に位置し、威厳を意味し、第4室であることから高い宗教性も意味します。しかし、太陽は第8室支配星なので、本当に高いレベルでの霊性の顕現かは疑問が残ります。金星は水星と星座交換しているので自室に在住しているような強さを持ち、金星はラージャ・ヨーガ・カラカなので単独で成功を引き起こします。太陽の威厳、リーダーシップ、金星のカリスマ性、水星の教師、以上のことからクリシュナムルティが世界教師として顕現したと読み取れます。 ●星の教団解散演説1929年8月2日 月-ラーフ-太陽期。クリシュナムルティは星の教団解散演説をしました。月は高い地位や引退の第7室支配星で損失の第12室に在住し、地位の損失が読み取れます。また、ラーフはマハー・ダシャー・ラグナの月から第3室にあります。第3室はアシュラムや組織の第4室を失うハウスです。ラーフのディスポジターの土星が高い地位と威厳をもらしましたが、このときは同時に不名誉と地位の損失を与えました。第10室と土星には不名誉・無秩序・混乱・突然の第8室支配星の太陽がアスペクトし、クリシュナムルティ自身に不名誉を与え、星の教団に突然の混乱をもたらしました。 5.参考文献クリシュナムルティ伝記3部作 |
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