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談 話 室

2005/01/01 (土)

占星術にとっての新年とは

桃井 「岩田先生、新年というのは占星術的にはどう考えるんですか?」

岩田 「インド占星術なら、サイデリアル12星座の魚座で、太陽と月が正確にコンジャンクションした瞬間のホロスコープを、その後1年間の現象を読み取るのに使っている。」

桃井 「2005年1月1日のホロスコープでは、2005年の現象を予測するのに使えないんですか?」

岩田 「一般的には、占星術で2005年1月1日0時00分のホロスコープを、2005年の現象を見るのに使うことは無いけど、2005年の現象を読み取るのに使えないというわけではない。

 日本では、大晦日のTV番組の多くが、1月1日0時00分の瞬間には、今新年が始まりましたというコメントを入れる。だから多くの日本人にとって、1月1日0時00分の瞬間は、2005年という1年間が生まれた瞬間として認識されていると思うんだ。」

桃井 「そうか、2005年1月1日0時00分という時刻は、2005年が生まれた瞬間、つまり2005年という現象の出生時刻になるんですね。」

岩田 「そう、マンディーン・アストロロジーでは、憲法を制定した瞬間のホロスコープから、その国の運命を読み取るんだから、かなりの人が新年の開始した瞬間と認識する、2005年1月1日0時00分のホロスコープからは、2005年の運命を読み取ることも出来るということになる。

 でも、天文学的に特異な瞬間では無いから、2005年1月1日0時00分のホロスコープは、その瞬間にこれから新しい1年が始まったと認識した人以外には、ほとんど作用しない可能性は高いけどね。」

桃井 「そうすると、大晦日のTVを見ていたり、ニュー・イヤー・パーティーで、2005年1月1日0時00分の瞬間に乾杯したり、クラッカーを鳴らしたりする人には、2005年1月1日0時00分のホロスコープは、けっこう作用するんでしょうね。」

岩田 「そうだね。」

桃井 「インド占星術では、魚座で太陽と月がコンジャンクションした瞬間のホロスコープを、その後1年間の予測に使いますけど、西洋占星術ではどんなホロスコープを、1年間の予測に使うんですか?」

岩田 「太陽と月がコンジャンクションした瞬間は、言い方を換えれば新月の瞬間だ。この新月の瞬間というのは、西洋占星術でも新月図という名前で、次の新月までの1ヶ月間の予測に使っている。

 西洋占星術で1年の予測に使うホロスコープは春分図と言って、太陽の運行がホロスコープの春分点の度数に重なった瞬間のホロスコープを使うんだ。

 トロピカル12星座では、春分点の度数を牡羊座の起点として使っている。だから言い方を換えれば、トロピカル12星座の牡羊座に、太陽がイングレス(進入)した瞬間のホロスコープを、その後1年間の予測に使っているということだね。」

桃井 「ここでも、インド占星術では月を重視し、西洋占星術では太陽を重視するんですね。」

岩田 「国家の運命を予測する場合に、太陽に着目するのはインド占星術でも同じだ。それに春分点は、占星術的に重要な天文学的特異点だから、サイデリアル12星座で春分点に太陽がコンジャンクションした瞬間のホロスコープを、インド占星術的にリーディングして、その後1年間の予測に使うのは十分可能だと思う。

 このサイデリアル12星座で作った春分図と、トロピカル12星座で作った春分図を比較してみると、それぞれの特徴が出て来るだろうから、なかなか面白い作業だと思う。」

桃井 「上の図が、それですね。」

岩田 「そう、この二つのホロスコープで、春分の日から1年の日本を予測し、1年後にその予測結果を比較してみるのは、よい勉強になるだろうね。」

2004/12/26 (日)

年末年始の話題

桃井 「岩田先生、去年の12月はクリスマスをテーマに興味深い話を、いろいろ教えてもらいましたけど、今年はクリスマスも過ぎてますから、初詣に関してなにか面白いお話はありませんか?」

岩田 「元日の初詣という習慣は、江戸時代に盛んだった、元日の恵方にあたる社寺に参詣する恵方詣(えほうもうで)が起源みたいだね。」

桃井 「恵方というのは?」

岩田 「中国運命学の一部が陰陽道に取り込まれて成立した開運術の技法に、自宅から見て、その年の福徳を司る歳徳神(さいとくじん)の在する方角、この方角を恵方と言うんだけど、その方角に位置する社寺で方位取りをする開運術という意味が、江戸時代の初詣にはあったんだね。」

桃井 「歳徳神の在する方角って、開運術として有効なんですか?」

岩田 「方位・方角の運命学的効果は、東西占星術研究所の研究課題の一つにはなっているけど、歳徳神に関しては研究の対象外であると判断しているから、それについてはノー・コメントということにしておこう。」

桃井 「はい。」

岩田 「それから少し付け加えておくと、陰陽道的な開運術としての恵方詣が初詣の源流としたら、恵方詣の源流は、新年を運んで来る歳神(としがみ)を各家庭でお迎えする習慣だったと思うんだ。

 そこには、目に見えない存在が自分たちの身近に訪れるのをお迎えするという敬虔な宗教感情や、今年も無事に新年を迎えることの出来たことに感謝する謙虚な精神の姿勢がそれなりにあったと思う。

 そういった意味で現在の初詣から、方位取りの開運術という要素が抜け落ちてしまったことは、初詣にとっては良いことだったと思っている。」

桃井 「方位取りに熱中している人の発する精神的波動というのは、そばにいるとちょっと苦しいねって、岩田先生が前に言ってましたけど、初詣が方位取りの開運術だったら、日本列島が新年から、ちょっぴり苦しい波動におおわれてしまいますね。

 ところで、友人がとても示唆的な内容を引いちゃったと、話してくれることが時々ありますけど、神社のおみくじってどう思いますか?」

岩田 「プラシュナでは、本人が貝殻を置いた星座を第1室としてホロスコープのリーディングをすることもあるんだ。そういう意味で、おみくじってのは一種のプラシュナと似たところもある占いシステムだ。

 だから、引いたおみくじの吉凶で一喜一憂して心を興奮させるんじゃなくて、謙虚に戒めや助言を求めるという気持ちで引けば、それなりの示唆や啓示として生かせる内容を、おみくじから読み取れると思うよ。」

桃井 「はい、それって占い全般に対する、基本的態度でもあるんですよね。

 そういえば、トロピカル12星座を使っても、ホラリーならけっこう当たると、羽田先生がおっしゃっていた話を、前に教えてもらいましたけど、質問者が真剣ならプラシュナやホラリーって、使う技法の良し悪しは関係がないんですか?」

岩田 「関係が無いわけじゃないけど、プラシュナやホラリーの方が採用する技法の自由度は高いし、卜占(ぼくせん)系の占いはさらに技法の自由度が高い。

 でも、どちらにも良く出来た高度な技法というものは存在する。卜占系の中では、周易には哲学というか、風格みたいなものを感じるんで、けっこう好きなんだ。」

桃井 「岩田先生からインド占星術の個人指導を受けている方で、西洋占星術をやってる方が多いのは当たり前だとは思うんですけど、不思議と男性は周易をやってた方が目立ちますね。」

a-News 2.32



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