● 占星術にとっての新年とは
桃井 「岩田先生、新年というのは占星術的にはどう考えるんですか?」
岩田 「インド占星術なら、サイデリアル12星座の魚座で、太陽と月が正確にコンジャンクションした瞬間のホロスコープを、その後1年間の現象を読み取るのに使っている。」
桃井 「2005年1月1日のホロスコープでは、2005年の現象を予測するのに使えないんですか?」
岩田 「一般的には、占星術で2005年1月1日0時00分のホロスコープを、2005年の現象を見るのに使うことは無いけど、2005年の現象を読み取るのに使えないというわけではない。
日本では、大晦日のTV番組の多くが、1月1日0時00分の瞬間には、今新年が始まりましたというコメントを入れる。だから多くの日本人にとって、1月1日0時00分の瞬間は、2005年という1年間が生まれた瞬間として認識されていると思うんだ。」
桃井 「そうか、2005年1月1日0時00分という時刻は、2005年が生まれた瞬間、つまり2005年という現象の出生時刻になるんですね。」
岩田 「そう、マンディーン・アストロロジーでは、憲法を制定した瞬間のホロスコープから、その国の運命を読み取るんだから、かなりの人が新年の開始した瞬間と認識する、2005年1月1日0時00分のホロスコープからは、2005年の運命を読み取ることも出来るということになる。
でも、天文学的に特異な瞬間では無いから、2005年1月1日0時00分のホロスコープは、その瞬間にこれから新しい1年が始まったと認識した人以外には、ほとんど作用しない可能性は高いけどね。」
桃井 「そうすると、大晦日のTVを見ていたり、ニュー・イヤー・パーティーで、2005年1月1日0時00分の瞬間に乾杯したり、クラッカーを鳴らしたりする人には、2005年1月1日0時00分のホロスコープは、けっこう作用するんでしょうね。」
岩田 「そうだね。」
● 桃井 「インド占星術では、魚座で太陽と月がコンジャンクションした瞬間のホロスコープを、その後1年間の予測に使いますけど、西洋占星術ではどんなホロスコープを、1年間の予測に使うんですか?」
岩田 「太陽と月がコンジャンクションした瞬間は、言い方を換えれば新月の瞬間だ。この新月の瞬間というのは、西洋占星術でも新月図という名前で、次の新月までの1ヶ月間の予測に使っている。
西洋占星術で1年の予測に使うホロスコープは春分図と言って、太陽の運行がホロスコープの春分点の度数に重なった瞬間のホロスコープを使うんだ。
トロピカル12星座では、春分点の度数を牡羊座の起点として使っている。だから言い方を換えれば、トロピカル12星座の牡羊座に、太陽がイングレス(進入)した瞬間のホロスコープを、その後1年間の予測に使っているということだね。」
桃井 「ここでも、インド占星術では月を重視し、西洋占星術では太陽を重視するんですね。」
岩田 「国家の運命を予測する場合に、太陽に着目するのはインド占星術でも同じだ。それに春分点は、占星術的に重要な天文学的特異点だから、サイデリアル12星座で春分点に太陽がコンジャンクションした瞬間のホロスコープを、インド占星術的にリーディングして、その後1年間の予測に使うのは十分可能だと思う。
このサイデリアル12星座で作った春分図と、トロピカル12星座で作った春分図を比較してみると、それぞれの特徴が出て来るだろうから、なかなか面白い作業だと思う。」
桃井 「上の図が、それですね。」
岩田 「そう、この二つのホロスコープで、春分の日から1年の日本を予測し、1年後にその予測結果を比較してみるのは、よい勉強になるだろうね。」