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検証 占星術

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トランジットの秘儀

●トランジット

 インド占星術では、トランジットをみるとき、一般的には、月の位置を基準にすることになっています。
 確かに、月の位置を基準にしたトランジットの見方は、よく作用しています。しかし、あくまでもそれはアセンダントを基準にしたトランジットの見方の次によく作用しているのであって、それ以上ではないことは心にとめておく必要があるでしょう。

 インド占星術のトランジット分析において、月が重視されるのは次のような事情があるのではないかと考えられます。昔のインドでは、必ずしも出生時刻が正確に記録されているとは限りません。そうすると、約2時間で1つの星座を移動するアセンダントより、約2日半で1つの星座を移動する月の位置を基準にしたほうが、判断を間違えることが少ない。つまり、トランジットをみるときに、月のほうがアセンダントよりもホロスコープの基点として強く作用するというより、コンピュータも無く、正確な出生時刻修正もままならない昔のインドでは、月をホロスコープの基点としたほうがトランジットを分析する上において、都合が良かったのではないかと推測できるのです。この辺の真偽については、皆さんが自ら検証していただきたいと思います。

 西洋占星術によって、結婚の時期を判断したり、子供の出産時期を判断したり、昇進の時期を判断することは、プロの占星家であっても大変難しいことであるとされています。しかし、インド占星術においてはそれはさほど難しいことではありません。
 インド占星術には、トランジットによって、結婚の時期を判断したり、子供の出産時期をみたり、昇進の時期をみたりする非常に優れた技法が存在しています。このトランジット技法を使用すれば、実に単純明快に、しかもかなり正確にその時期を特定することが出来るでしょう。また、時刻修正をするにも非常に役立つものです。これらの技法は、西洋占星術を実践する占星家でも、サイデリアル星座帯と、「星座=ハウス」のインド式ハウス・システムを使用するなら、同様に実践に活用できるでしょう。

 今回は、インドの占星家K.N.Rao氏 によって公開されたファミリー・シークレット、トランジットによって子供の出産時期をみることができる簡単な技法をご紹介します。

○サイデリアル星座帯によるシステム

 その前に、この技法はあくまでもサイデリアル星座帯と、「星座=ハウス」のハウス・システムを使用した場合にのみ適用できる法則であることをお断りしておきます。したがって普段、トロピカル星座帯&プラシーダス・ハウスなどの西洋占星術のシステムを使用されている方がこの技法を試される場合は、コンピュータ・ソフトの設定を、サイデリアル星座帯(Lahiri)、「星座=ハウス(Whole Signs)」のシステムに変更してください。
 「トロピカル星座帯とサイデリアル星座帯の違い」について詳しく知りたい方は、「簡易レファレンス」の「サイデリアル星座帯」をご覧ください。

○インド占星術におけるアスペクト

 具体的な説明に入る前に、インド占星術におけるアスペクトの概念を理解していただく必要があります。すでに御存知の方はこのまま読み進めていだだいて結構です。もし、インド占星術におけるアスペクトについて詳しく知りたい方は「簡易レファレンス」の「アスペクト(Drishti)」をご覧ください。

●トランジットによる出産時期の予測方法

 インド占星術では、子供や出産は5室で表示されます。そして、5室からの5室目、つまり9室は5室の本質を表すとされています。そのため、9室も5室と同様に子供や出産を表示するハウスです。そこから、子供の出産の時期を測る次のような法則が導き出されます。

ルール1.
土星
 (a)5室、または
 (b)5室の支配星、または
 (c)9室、または、
 (d)9室の支配星
に対して、子供の出産の9ヶ月以内にアスペクトを形成していなければならない。
* 逆行する惑星は、在住するハウスからだけでなく、1つ前のハウスからもアスペクトを形成するので注意。
ルール2.
木星も同様に、上記の4つの場所に、子供の出産の9ヶ月以内にアスペクトを形成していなければならない。
ルール3.
火星は上記の4つの場所に、子供の出産の75日以内にアスペクトを形成していなければならない。
ルール4.
は上記の4つの場所か、アセンダント、または、に対して、出産の72時間以内にアスペクトを形成していなければならない。

それでは、有名人をサンプルにして、検証してみましょう。

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●【実例1】USAの元大統領ジェラルド・フォード

 ここでは、西洋占星術のホロスコープを使用しています。
 まずは、USAの元大統領ジェラルド・フォード氏。1950年3月14日に、彼の最初の子供であるマイクが生まれたときのトランジットで検証してみましょう。マイクの出生時刻については明らかでありませんが、一応正午で作成しました。今回の目的のためには、特に問題がないのでこのまま使用させていただきます。

フォードのチャート

(A) トランジットの土星は5室を通過中
(B) トランジットの木星は11室から対向の5室にアスペクト
(C)また、3室に在住する5室の支配星・太陽にも5番目のアスペクト
(D) 6室を通過中の火星は、9室およびその支配星・木星に対して4番目のアスペクト
(E) トランジットの月は10室を通過中ですが、前日もしくは前々日には、9室を通過
(F) そこから5室の支配星・太陽に対してもアスペクト

したがって、トランジットの土星から月まで4つのすべての惑星が条件をみたしています。

 

●【実例2】ベティ・フォード(フォード元大統領夫人)

次に、彼の妻であるベティ・フォード夫人のホロスコープで同様に検証してみましょう。

Mrs.ベティ・フォードのチャート

(A) トランジットの土星は1室を通過中で、5室の支配星・木星に10番目のアスペクト
(B) そして、9室の支配星である火星に対しては、40分以内の緊密なコンジャクション
(C) 次に、トランジットの木星は7室に入ってきたばかりですが、1室在住の9室の支配星・火星にアスペクト
(D) 木星は、昨日まで通過していた6室から10室在住の5室の支配星・木星にアスペクト
(E) トランジットの火星は2室を通過中で、そこから5室に4番目のアスペクト
(F) また、そこから9室に対して8番目のアスペクト
(G) トランジットの月は6室を通過中ですが、出生の72時間以内に5室を通過

 したがって、妻であるベティ・フォード夫人のホロスコープでも同様に法則の作用が確認されました。

 

●【実例3】マイケル・ジャクソン

 次に、マイケル・ジャクソンのホロスコープで検証してみましょう。彼の妻のホロスコープは不明なので、彼のホロスコープだけで検証してみます。
 それでは、1997年2月13日、彼の息子プリンス・マイケル・ジャクソンJr.が誕生したときのトランジットを検証してみましょう。

マイケル・ジャクソンのチャート

(A)トランジットの土星は11室を通過中で、5室にアスペクト
(B)トランジットの木星は9室を通過中
(C)また、5室にも9番目のアスペクト
(D)トランジットの火星は5室を通過中
(F) トランジットの月は12室を通過中ですが、出生の72時間以内に11室を通過しているので、そこから5室にアスペクトを投げかけていた

 したがって、マイケル・ジャクソンのケースでも、条件は完璧にみたされていることが確認されました。

 

●【実例4】マドンナ

最後に、マドンナで検証してみましょう。
 1996年10月14日16:01、彼女の長女・ローダが生まれたときのトランジットを検証してみます。このケースについても、彼女の旦那のホロスコープは不明なので、マドンナのホロスコープだけで検証してみます。

マドンナのチャート

(A)トランジットの土星は8室を通過し、そこから5室に10番目のアスペクト
(B)トランジットの木星は5室を通過中
(C)また、9室およびその支配星・火星に対しても5番目のアスペクト
(D)トランジットの火星は12室を通過し、そこから5室の支配星・木星に4番目のアスペクト
(E)トランジットの月は5室の支配星・木星が在住している3室を通過中
(F)そこから9室およびその支配星・火星にアスペクト

 したがって、マドンナのケースでも、4つの惑星すべてが条件を完璧にみたしていることになります。

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●実際にこの技法を使うときのポイント

 以上の検証の結果から、インド占星術におけるトランジットが予測において有用であることをご理解いただけたことと思います。そして、私の今まで検証してきた結果によると、この技法があてはまらない出産は存在していません。西洋占星術の占星家でも、サイデリアル星座帯と、「星座=ハウス」のインド式ハウス・システム、インド式アスペクトを使用すれば、同様に未来予測や出生時刻修正に役立てることが出来るはずです。まずは、自分で検証して、その真偽をしっかりと確かめてみてください。

 最後に、ひとつお断りしておきたいことは、この方法はあくまでも短時間で結果を出すための簡単な技法であるということです。実際には、その人に子供が出来るのかどうか、出産は遅いほうか、早いほうか、平均的かを、ラーシやナヴァームシャ(9分割)、シャプタームシャ(7分割)などで、十分に検証した後に、この技法を適用しなければなりません。しかし、ここではあくまでもインド占星術におけるトランジットの見方の一つを示しただけです。したがって、じっくりと判断するときにはラーシやナヴァームシャ、シャプタームシャを検討した後、出産が起こりうる時期を、星座サイクルでまず分析し、次に惑星サイクルで分析し、その後にトランジットを含めて分析すると良いでしょう。

文:Hada Yoji 編集:Charak

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