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談 話 室

2003.04.07

メッセージに答えて

桃井 「岩田先生、こんなメッセージが来ていますよ。」

Yさんのメッセージ
「こんにちは、開運術のヤギャを読ませていただきました。
>このジョーティシャと出会い、さらに正しいヤギャと出会うには、それなりの縁と徳が必要です。
>この理論から言えば、このページを読んでいるあなたはそれだけの素晴らしい縁と徳があるといえます。
この部分を読んで少し嬉しい気がしました。

 けれども、インド占星術について、しっくり行かない所があったのですが、徳を積めば自分に返り、悪い行いは自分に返ってくるから、だからカルマは解消するべきの教えを読むたびに、縛られているような気がします。 そういう法則の為に脅されて生きなければいけないのでしょうか?

 非難をするつもりはないので誤解はして欲しくないのですが、ただ印象として受けただけなのですが、今の境遇が良い人たちには、過去生の徳があるから、幸運なんだとかは気持がいいと思いますが、とにかく宗教性が強くて受け入れられない部分が多いと思いました。

 私はヤギャというのがどのような物か全く分からないけれども、慈しみの内容を読む限りでは、自分自身の感情の表現を否定しているように感じました。抑圧をしていると何れは爆発します。

 ヒンドゥ教であるインドはたびたび暴動がおき貧困の差もあるし、経済的にも発展性がないように思えます。果たして、ヤギャとかヒンドゥ教の行いがその人の為になるのか、どうも勘ぐりたくなります。この事についてどのように思いなのか、返事を聞かせてください。」

岩田 「なかなか興味深いメッセージだね。このメッセージには色々なテーマが含まれているけど、最後の部分の『ヒンドゥ教であるインドはたびたび暴動がおき貧困の差もあるし、経済的にも発展性がないように思えます。果たして、ヤギャとかヒンドゥ教の行いがその人の為になるのか?』という部分について、最初に回答しよう。
 前回の談話室でも話したように、インドは多くの聖者を輩出し続けている国だけど、インドという国全体が聖なる地上の楽園である思うのは、勝手な思い込みになるね。その思い込みを前提にして、インドの闇の部分を指摘しても、誰の利益にもならないよね。

 もっとも日本人と同様に、インド人だって自己愛着による迷妄やプライドはあるだろうから、インドは偉大で聖なる国民で、ヒンドゥー教だけが素晴らしい宗教だと思っているインド人もいるだろうね。
 こういう主張は、いくらでも客観的証拠や科学的根拠が出てくるから、知性や霊性が高い尊敬に値する人でも、暗にそのような立場に立った発言をする場合もある。

 ここで重要なのは、救済者というのは自分から意図して、苦しみ多き世界に生まれて来るということだ。つまり救済者は、その世界に転生して苦しんでいる、多くの自分と縁ある魂を救済するために、その苦しみ多き世界に意図して転生してくるんだ。
 したがって、多くの救済者を輩出したインドには、多くの悪業による苦しみと、多くの善行により救済される功徳という両面を持った魂の一群が転生する国といえるだろうね。

 インドが持っている救済される功徳というのは、神々や聖者に対する崇敬と敬愛の念、またマントラの詠唱、ヤギャやプージャーなどの所作行、あとは菜食主義や非殺生などの戒律の遵守などになるかな。

 これはインド人全部が、この功徳を持っていると言っているんではなく、インドには、昔から多くの聖者が転生して来れるだけの宗教的功徳を持った一群が、常に転生し聖者を迎えてきたということだね。

 そしてラーマクリシュナのような、一人の偉大な聖者の転生したなら、その恩恵はその一群の魂やインドすら超えて、全世界に広がっていく。その意味でいえば、やはりインドという国の持つ功徳は、なかなかに偉大なものであると言える。

 だからインドの光の部分だけを見て、聖なる地上の楽園だと思い込むのも、インドの闇の部分を指摘して、光の部分に疑念を持つのも、どちらもありのままに現象を見ていないことになるよね。」

桃井 「今のお話しで、前回の談話室で先生がインドについて言ったことの意味が、よくわかりました。」

岩田 「それから、矛盾する要素の片方を切り捨てて、単純化した善悪の判断をするという思考パターンは、一見すっきりするように見えて、実際は観念の袋小路に入ってしまい、それが心の深い部分での苦悩の原因になってしまうことが多い。
 メッセージからは、法則と観念との葛藤によって苦しいという感じの波動が読み取れるから、Yさんにはこの思考パターンから解放される道を歩んでほしいな。」

桃井 「スーパー・ダルシャンですね。
 でも、『慈しみの内容を読む限りでは、自分自身の感情の表現を否定しているように感じました。抑圧をしていると何れは爆発します。』というのは、それなりに言いたいことはわかる気がします。」

岩田 「抑圧をしている心の要素は、いずれ爆発するというのは、一面の真理だからね。
 これについては、カルマの法則に関して解説をする機会にでも、触れようと思うんだ。Yさんのメッセージには、カルマの法則に関する本質的なテーマが、捉えられているからね。」

桃井 「はい。Yさんの言っていることって、実はけっこう多くの人が感じている事じゃないかなと思うんです。」

岩田 「そうだね。それを言葉にして質問出来るというのは、頭が良いし心の率直さを持っていると思う。だからYさんが、その良い要素を育ててくれるような魂の師に出会えることを祈りたいね。」

2003.03.19

クシャトリヤのコンビネーション


桃井 「岩田先生、クシャトリヤのヨーガっていうのがあるんですか?」

岩田 「それは、ラオ氏の弟子の一人が発表した研究が、日本語に翻訳されてホームページにアップされているやつだね。この記事は、けっこう読んでいる人が多いみたいで、最近クシャトリヤのコンビネーションについて質問されることがときどきある。

 ラグナとその支配星に、火星と土星のコンビネーションが関係するとクシャトリヤ、つまり武人階級のパーソナリティーを表しているというのが記事の内容で、非常に単純なコンビネーションだから憶えやすい。でも、その記事はクシャトリアのコンビネーションの意味合いがわかりにくい内容になっているから、自分や知人のチャートにそのコンビネーションがあるとその具体的意味を質問したくなるらしいね。」

桃井 「岩田先生は、このコンビネーションをどう思いますか?」

岩田 「火星・土星のコンビネーションをインド占星術の古典では、闘争を好み、雄弁で、武器の扱いに熟達する惑星配置として扱っている。実際、この惑星配置には武術・格闘技系に興味を持つ人が多いという印象がある。それから意欲的な起業家にも見られる惑星配置だね。

 火星には戦士や司令官、土星には大衆への統治と支配という象意がある。そして武人階級が領土を支配し大衆を統治して、その上に宗教的権威をもって祭司階級が君臨するというのが、カースト制度の構造だ。
 したがってクシャトリヤのコンビネーションというネーミングは、火星・土星のコンビネーションのキャッチ・フレーズとして面白いし、なかなかうまい表現だと思うよ。」

桃井 「火星・土星のコンビネーションって、二大生来的凶星のコンビネーションですけど、そんなに悪くないんですか?」

岩田 「悪くリーディングしようと思えば、いくらでも悪くリーディング出来る惑星配置だけと、否定的なリーディングは誰でも出来ることだから、わざわざ話す必要もないんじゃないかな。クシャトリアのコンビネーションが実際にどんな意味を持つかは、個々のホロスコープにおける火星や土星の吉凶や強さ、ハウス支配などを検討しないと確定は出来ない。

 一般的解釈では否定的な惑星配置から、どれだけ肯定的な面を読み取ることが出来るかが、プロフェッショナルな占星術師としての真価を問われるポイントだと思うよ。」

桃井 「それから記事の中に掲載されていたJ.F.ケネディの出生図を見て思ったんですけど、火星の4番目のアスペクトと土星の10番目のアスペクトという、二つの一方的アスペクトが組合わさると、火星と土星が相互アスペクトする、完全なヨーガを形成するコンビネーションになるんですね。」

岩田 「その応用法則は、火星から4番目のハウスに在住する土星は、火星と相互アスペクトの関係になるというふうに記憶すると使いやすい。この特殊な相互アスペクトの深い意味合いについては、4月のステップ・アップ講座でも解説するから、後で収録したビデオをみるといいよ。」

桃井 「はい。楽しみにしています。」

岩田 「それから、この記事をざっと拾い読んだ時は、長い割には表題以上の深い考察がないなという印象だったけど、記事の最後に特大の活字を使って Your caste is in your genes, say scientists という表題を掲げ、カースト制度による階級間の優劣は遺伝子の違いによって決定されているという話題を引用しているのに気付いてショックを受けた。

 これを見ると、ナチス・ドイツが劣等民族のユダヤ人を抹殺しようとした時と同じような「科学的」証明が、インドではまだ堂々と肯定されているだね。血脈の原理による被差別階級の存在という問題は人類に普遍的に存在する問題だけど、こんな所でそれに出会うと不意打ちをくらったみたいなもので、やっぱりショックだった。」

桃井 「記事自体の内容は、科学的に正しいんですか?」

岩田 「そうだね、それについて正確に認識してもらうのは、かなり本格的な説明をしないと不可能だから、桃井君がわかりやすい比喩で説明しよう。

 土星が9室に入っていると古典では、反宗教的、不運と貧困、他の人に有害な存在、などの解釈をする。そしてラーマクリシュナ・パラマハンサの出生図の9室には、土星が入っている。この二つは真実の発言だ。
 でも、これからラーマクリシュナ・パラマハンサは、反宗教的で有害な人物だとリーディングで主張したら、桃井君はその占星術家をどう思う。」

桃井 「そういう人とは、お話しをしたくありませんね。それじゃあ、その記事の「科学的」証明もそんなふうな内容なんですね。」

岩田 「現代インドのカースト制度が持つ、陰惨な深い闇の部分についてのレポートを読んでいたから、もしかしたら読み方に偏見があるのかもしれないけど、私はその記事をそういう風にしか読めなかった。

 戦後のアメリカや毛沢東の中国が、地上に現実した理想国家ではなかったように、インドも決して国全体が、理想の聖なる楽園ではないという当たり前の事実は、インド占星術、アーユルヴェーダ、インド聖者のアシュラム、という接点でしかインドと接触しない人々にとっては、たとえ実際にインドに何度か行っているとしても知ることのない領域かもしれないね。」

2003.03.09

アクエリアス談義(その3)

桃井 「それではお話の続きをお願いします。」

岩田 「牡牛座の時代や牡羊座の時代には、それに対応した古代文明と古代宗教が存在していたという見方は否定すべき強い証拠がないし、魚座の時代と共にキリスト教が登場して、それが魚座の時代を代表する世界宗教になったという考え方は、魚座の特徴とキリスト教の特徴を考えるとけっこう説得力がある。

 そしてその考え方を未来に展開すれば、アクエリアスの時代には、現在のキリスト教に代わって新しい世界宗教が登場するという主張は、それほど無理のあるアピールではないと思うんだ。」

桃井 「魚座とキリスト教に共通の特徴って、なんですか?」

岩田 「キリスト教が世俗の権力と結びつきどんなに堕落しても、修道院からはマザーテレサのように、地の果てまで伝道に赴き、自己犠牲と奉仕に生涯を捧げる人を、常に絶えることなく輩出したのが、結果的にキリスト教を世界宗教にしたんだと思う。自己犠牲と奉仕は魚座の重要な特徴だね。

 まあ宣教師の中には、西洋文明による世界支配がキリスト教の伝道には必要と考えて、侵略と植民地化の尖兵の役割を演じた人々も多いから、奇麗ごとだけではないけどね。

 面白いことにヒンドゥー教でも、キリスト教のローマ世界への広がりと平行するかのように、バクティ運動が広く受け入れられていった。バクティ運動では抽象化された教義よりも、人格化された神に対する愛と崇拝という宗教的表現が主流になる。

 バクティという言葉は、熱愛や信愛という意味だから、魚座の時代に入って、キリスト教が世界に広がると共に、インドでも愛の宗教が広がっていったことになる。インドではヴィシュヌ神またはシヴァ神に対する愛だけどね。」

桃井 「面白いシンクロ現象ですね。」

岩田 「とすれば、魚座の時代から水瓶座の時代に移行するにつれ、新しい宗教運動が広がっていくだろうというのは、必然的流れだね。もしかしたら、それは信仰のなくなる時代なのかもしれないけど。」

桃井 「大変な話になりましたね。」

岩田 「言い方を変えれば、新しい信仰の姿を世界に提示した宗教が、次の時代をリードしていくと考えていいかもしれない。その先駆けとして、研究日誌で取り上げた聖者方が登場しているのかもしれないね。」

桃井 「そうなんですか?」

岩田 「救済のヨーガの定義を考えてごらん。土星が高揚の星座かムーラトリコーナの星座に位置し、木星が9番目の一方的アスペクトをするというのがその定義だ。これは結果として、木星は双子座か天秤座に位置し、土星は天秤座か水瓶座に位置することになる。この双子座・天秤座・水瓶座に共通の要素を考えてごらん。」

桃井 「一つは、三つの星座がトリコーナの関係になってますね。」

岩田 「そうだね。トリコーナの関係にある星座は、結果的に同じエレメントに属するんだけど、この双子座・天秤座・水瓶座の三つは、いずれも風のエレメントに属している。つまり、救済のヨーガは風のトライアングルで形成されるヨーガなんだ。

 魚座を支配する木星が敵対星位の双子座や天秤座に入って、ムーラトリコーナや高揚の星座で力を発揮する土星に一方的アスペクトを送るという救済のヨーガの構造は、木星が支配する水の星座の時代が終わり、土星が支配する風の星座の時代が始まることを象徴的に表しているという解釈も可能だ。

 象徴と言えば、キューピットとアフロディテが変身した2匹の魚が、離れないように帯で縛りあっているという魚座の象徴から、天に上げられた賢き美少年のガニメーデが、神の英知の源泉となる水瓶を持つ姿という水瓶座の象徴への移行は、情の絆に縛られ愛欲に耽る時代から、人が英知によって神の世界に至る時代になるのかもしれないね。」

桃井 「12星座の神話って、なかなか意味深い象徴ですね。」

岩田 「まあ12星座の神話は、占星術の奥義を象徴化したものだから当然と言えば当然だ。インド占星術でも神話によって占星術の奥義が象徴化されている例が多いね。だから占星術技法に内在する理論的構造を読み取る数学的センスと、神話に象徴された占星術の奥義を読み取る人文学的センスの両方が、占星術のオリジナルな研究を進めていくためには必要なんだ。

 アクエリアスの時代に信仰がなくなるとは思わないけど、木星が支配する水の星座の時代と土星が支配する風の星座の時代では、信仰も大きく変化していくんじゃないかな。自分を救世主として祭り上げていた教団を解散したクリシュナムルティなんかは一番過激な例だと思うけど、ラーマクリシュナにもこんなエピソードがあるんだ。

 神についてラーマクリシュナに質問した人に、熱心な信者が「この人のおっしゃることを信じなさい! ただ信じることです。」と言ったら、ラーマクリシュナは「お前はなんて人間だ! まだ本当に信じられないうちに無理に信じろだなんて。偽善だよ! お前はペテン師だよ!」と大変な剣幕で叱りつけた。その人は恥じ入って困惑の極に達し、周りの人は目をそらすほどだったそうだ。

 ダライラマ14世も、ダライラマという名は私の職務を意味する称号であり、自分自身は仏教僧たらんとする一チベット人であると言っている。救済のヨーガを持つ聖者方は、アクエリアスの時代の先駆けとなる土星に特徴付けられた精神性を持っているといっていいんじゃないかな。」

桃井 「土星は政治形態では民主主義をあらわすと、ラオ先生の本にも書いてありましたけど、納得できますね。」

岩田 「カースト制度の中で育ったインド占星術では、土星を奴隷階級に割り当てているけど、社会の枠組み自体が変われば、具体的惑星の象意も新しく解釈する必要があるという一つの例だね。

 土星は社会占星術だけでなく、スピリチュアル・アストロロジーにとっても実に興味深い。救済のヨーガの研究で、土星について一段理解が深まった気がするけど、まだまだ研究が必要だと思う。」

桃井 「今後の発表を楽しみにしてます。」

a-News 2.32



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