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談 話 室

2003.05.13

カルマの法則について

岩田 「今日は、カルマの法則について話そうか。」

桃井 「そうですね。以前の談話室で、メッセージの紹介をした時に、カルマの法則について、続きの話しをすると約束していますから。」

岩田 「あの時のメッセージに含まれていたテーマは、こう表現できると思うんだ。
 カルマの法則は、幸福な人には自分の幸福を正当化することが出来てよいだろうけど、不幸な人にとっては、自分の不幸は自分が悪いことをやった報いだという、救われない考え方ではないかという反発。
 もう一つは、カルマの法則は自分の行動を制約して、自由な意志で行動することを阻害する、不快な法則であるという反発。
 カルマの法則に対するこの二つの反発だったね。」

桃井 「宗教家と人権運動家の対談で、日本で業と呼ばれるカルマの法則は、生まれによる社会差別を肯定するために使われてきた非科学的な迷信だという非難を読んだことがありますけど、これはなかなか反論しにくい非難だなと思ったことがあります。」

岩田 「そうだね。法則というのは本質的に善悪を超えた抽象的メカニズムだから、深い悪意を持って使えば大きな悪として人々に深い苦しみを与えることも出来る。
 これは物理法則もカルマの法則も同じだね。物理化学の法則を使って核兵器や化学兵器が開発され、多くの苦しみを生じさせた。
 しかし、ある法則が悪用されたから、その法則は悪であると決め付けるのは、詭弁的テクニックを使う討論者が、相手の意見を抹殺するのに愛用する手法なんだ。」

桃井 「カルマの法則は、社会差別を肯定する悪意の正当化に利用することも出来るけど、それはカルマの法則の本質とは関係のないということですね。」

岩田 「カルマの法則で社会差別を理解するには、カルマの法則に関連した深遠な諸法則を知らないと絶対無理だね。浅薄なカルマの法則の理解によって、差別の現状を正当化するために使うのなら、その心の働きによって未来、自分が差別の中で苦しむカルマを、魂に刻み込むことになるということに思い至るべきだね。
 そうでないなら、その人はカルマや業という法則の言葉を使いながら大きな迷妄によって、今生、そして来世においても迷妄の闇に苦しむことになる。」

桃井 「真理の言葉を使うことによって、逆に迷妄に沈んでいくというのは怖い話ですね。」

岩田 「カルマの法則は、輪廻転生の存在だけではなく、諸現象の本質的無常性に関する認識もないと、容易に邪悪な法則に堕落することが可能な、ある意味で危険な法則なんだ。心の成熟していない魂は、我欲によってこの危険な扉を開き、闇に堕ちていきやすいんだね。だから、カルマの法則に対しては、我欲や慢を捨て去って謙虚に向かい合うことが必要だ。

 カルマの法則における諸現象の無常性という正しい認識があれば、一切の努力は必ず未来際において結果を生み、人はいかなる欠点や罪からも解放されていくことが可能であるという、肯定的な思考が生じるだろうね。
 それに、自分より不幸な境遇で苦しんでいる人々に対して、優越感や軽蔑ではなく、慈しみや哀しみの心が生起しなけば、その人は来世、人間以上の高い世界に転生するだけの高い精神性を持っていないことを証明する、哀しい事実を示していると思うんだ。

 ここで、一般的なカルマの法則では語られることの無い、より崇高な輪廻転生のメカニズムについて話そう。この法則を知らないと、このテーマについて、真に正しい見解が得られないからね。

 高貴な魂の中には、生まれてくる時の魂の課題として、意図して卑しいといわれてる境遇に転生してくる場合も多い。卑しい境遇に生まれながら、高貴な魂として人々から崇敬さた聖者方も数多くこの世に登場しているしね。
 しかも、客観的には悲惨といえる境遇にありながら、高貴な精神の輝きを発する人は意外に多いんだ。これは感動すべき、魂の不思議さだ。色々な人の鑑定を受けていると、この人は魂が成長するための課題として、この苦悩を聖なる十字架として背負い、今生は生まれてきたんだなと感じるケースにしばしば出会うんだ。

 しかし、たとえその課題を乗り越えて成長することを、今生の使命として生まれてきたとしても、生まれてから周囲から入れられて来た、多くの現世的な情報によって、その高貴な使命を理解できなくなり、苦しんでいる人も多いと思うんだ。
 東西占星術研究所のインド占星術は、その使命に気付くのを支援する、スピリチュアルな占星術でありたいと思うし、そのような形でインド占星術が日本に普及する一役を担いたいと思っている。」

桃井 「強力な技法が多くて、カルマの法則を根本に成立しているインド占星術は、悪くすると社会差別の肯定に利用される危険もありそうだし、インド占星術がもっと広まってくると、自分の欲望を達成に利用しようとする人も出てくるんでしょうね。」

岩田 「まあ、一般に高度な法則や強力な法則は、誤用や悪用をすれば大きな悪業を積むことが出来るという構造は、精神世界も物理的世界も同じだから、インド占星術のように強力な技法が数多く存在する占いも、同様な危険を持っているだろうね。」

桃井 「高度な法則や技法を学ぶときは、大きな悪にも道が開かれていることに注意する必要があるんですね。
 カルマの法則と自由意志に関するテーマに関しては、どうなんですか?」

岩田 「このテーマも簡単には語れないから、今回はこの辺で終わらせ、また機会を改めて話そう。」

桃井 「はい。それから話は変るんですが、研究日誌に予告したマザーテレサはどうなっているんですかという催促のメッセージが来ています。」

岩田 「マザーテレサは、信頼出来る出生時刻の記録がないので、K.N.ラオ氏が監修したマザーテレサのリーディングが使っているホロスコープがリーディングに使えるか、チャラカさんと検討したんだけど、いろいろ問題があってね。」

桃井 「そうなんですか。」

岩田 「まあ、月をアセンダントとしてリーディングしても興味深いから、談話室で軽く取り上げてもいいね。」

桃井 「楽しみにしています。」

2003/04/17 (木)

グルと弟子の関係を見る技法

岩田 「桃井君、スピリチュアルな相性判断の技法に、グルと弟子の相性を見る方法を見つけたので、少し検証してみよう。

 弟子がグルの救済活動を継いで、その救済を成功させることが出来るかどうかは、グルの10室と弟子の11室を見るんだ。つまりグルの11室の星座に、弟子のラグナが位置していると、グルの使命を表す10室を成功させる役割を果すとリーディングすることが出来る。」

桃井 「11室は10室の事業の成功を表すハウスですけど、それが弟子のホロスコープにまで使えるというのは面白いですね。」

岩田 「それじゃあ、ラーマクリシュナとヴィヴェーカーナンダの関係を見てみよう。ラーマクリシュナは、アセンダント・月・太陽が一つの星座に集まっているから、この検証にはとても良い事例になる。」

桃井 「ヴィヴェーカーナンダは、ラーマクリシュナ・ミッションを設立してラーマクリシュナを全世界に紹介した人ですから、この検証にはぴったりですね。」

岩田 「ほら、ヴィヴェーカーナンダのアセンダントと太陽が射手座に位置しているだろう。射手座はスピリュアルな木星の支配する活動的な星座だから、ヴィヴェーカーナンダの精力的な救済活動をよく表しているね。」

桃井 「本当ですね。でも心を表す月がラーマクリシュナの8室になる乙女座に位置していますよ。」

岩田 「ラーマクリシュナと出会う前のヴィヴェーカーナンダは、ラーム・モーハンのブラーフマ協会に所属していた西洋的教養と思考を身につけていた青年だった。そのためラーマクリシュナと出会ったときから、ラーマクリシュナを敬愛していたけど、その理性的立場を捨てて盲信することがなく、最もラーマクリシュナに言い逆らった弟子とも言えるんだ。

 このヴィヴェーカーナンダのグルを絶対視しない心の働きは、ラーマクリシュナがなくなる直前にも見られるから、行動を表すアセンダントと魂を表す太陽が11室に在住し、心を表す月が9室を失う8室に在住しているというのは、逆にこの技法が十分使えるものであることを示していると思うんだ。

 乙女座は理性的で批判心の強い星座だから、アセンダントと太陽のある射手座と並んで、これも二人の関係を良く表しているといえるね。」

桃井 「これはとっても面白い技法ですね。相性占いもインド占星術になると、とってもスピリチュアルな世界になるんですね。」

岩田 「この技法についてはもう少し検証を続けて、そのうち研究日誌にまとめてみようか? 救済のヨーガのシリーズもまだヴィヴェーカーナンダを取り上げていないしね。」

桃井 「はい、よろしくお願いします。」





2003.04.07

メッセージに答えて

桃井 「岩田先生、こんなメッセージが来ていますよ。」

Yさんのメッセージ
「こんにちは、開運術のヤギャを読ませていただきました。
>このジョーティシャと出会い、さらに正しいヤギャと出会うには、それなりの縁と徳が必要です。
>この理論から言えば、このページを読んでいるあなたはそれだけの素晴らしい縁と徳があるといえます。
この部分を読んで少し嬉しい気がしました。

 けれども、インド占星術について、しっくり行かない所があったのですが、徳を積めば自分に返り、悪い行いは自分に返ってくるから、だからカルマは解消するべきの教えを読むたびに、縛られているような気がします。 そういう法則の為に脅されて生きなければいけないのでしょうか?

 非難をするつもりはないので誤解はして欲しくないのですが、ただ印象として受けただけなのですが、今の境遇が良い人たちには、過去生の徳があるから、幸運なんだとかは気持がいいと思いますが、とにかく宗教性が強くて受け入れられない部分が多いと思いました。

 私はヤギャというのがどのような物か全く分からないけれども、慈しみの内容を読む限りでは、自分自身の感情の表現を否定しているように感じました。抑圧をしていると何れは爆発します。

 ヒンドゥ教であるインドはたびたび暴動がおき貧困の差もあるし、経済的にも発展性がないように思えます。果たして、ヤギャとかヒンドゥ教の行いがその人の為になるのか、どうも勘ぐりたくなります。この事についてどのように思いなのか、返事を聞かせてください。」

岩田 「なかなか興味深いメッセージだね。このメッセージには色々なテーマが含まれているけど、最後の部分の『ヒンドゥ教であるインドはたびたび暴動がおき貧困の差もあるし、経済的にも発展性がないように思えます。果たして、ヤギャとかヒンドゥ教の行いがその人の為になるのか?』という部分について、最初に回答しよう。
 前回の談話室でも話したように、インドは多くの聖者を輩出し続けている国だけど、インドという国全体が聖なる地上の楽園である思うのは、勝手な思い込みになるね。その思い込みを前提にして、インドの闇の部分を指摘しても、誰の利益にもならないよね。

 もっとも日本人と同様に、インド人だって自己愛着による迷妄やプライドはあるだろうから、インドは偉大で聖なる国民で、ヒンドゥー教だけが素晴らしい宗教だと思っているインド人もいるだろうね。
 こういう主張は、いくらでも客観的証拠や科学的根拠が出てくるから、知性や霊性が高い尊敬に値する人でも、暗にそのような立場に立った発言をする場合もある。

 ここで重要なのは、救済者というのは自分から意図して、苦しみ多き世界に生まれて来るということだ。つまり救済者は、その世界に転生して苦しんでいる、多くの自分と縁ある魂を救済するために、その苦しみ多き世界に意図して転生してくるんだ。
 したがって、多くの救済者を輩出したインドには、多くの悪業による苦しみと、多くの善行により救済される功徳という両面を持った魂の一群が転生する国といえるだろうね。

 インドが持っている救済される功徳というのは、神々や聖者に対する崇敬と敬愛の念、またマントラの詠唱、ヤギャやプージャーなどの所作行、あとは菜食主義や非殺生などの戒律の遵守などになるかな。

 これはインド人全部が、この功徳を持っていると言っているんではなく、インドには、昔から多くの聖者が転生して来れるだけの宗教的功徳を持った一群が、常に転生し聖者を迎えてきたということだね。

 そしてラーマクリシュナのような、一人の偉大な聖者の転生したなら、その恩恵はその一群の魂やインドすら超えて、全世界に広がっていく。その意味でいえば、やはりインドという国の持つ功徳は、なかなかに偉大なものであると言える。

 だからインドの光の部分だけを見て、聖なる地上の楽園だと思い込むのも、インドの闇の部分を指摘して、光の部分に疑念を持つのも、どちらもありのままに現象を見ていないことになるよね。」

桃井 「今のお話しで、前回の談話室で先生がインドについて言ったことの意味が、よくわかりました。」

岩田 「それから、矛盾する要素の片方を切り捨てて、単純化した善悪の判断をするという思考パターンは、一見すっきりするように見えて、実際は観念の袋小路に入ってしまい、それが心の深い部分での苦悩の原因になってしまうことが多い。
 メッセージからは、法則と観念との葛藤によって苦しいという感じの波動が読み取れるから、Yさんにはこの思考パターンから解放される道を歩んでほしいな。」

桃井 「スーパー・ダルシャンですね。
 でも、『慈しみの内容を読む限りでは、自分自身の感情の表現を否定しているように感じました。抑圧をしていると何れは爆発します。』というのは、それなりに言いたいことはわかる気がします。」

岩田 「抑圧をしている心の要素は、いずれ爆発するというのは、一面の真理だからね。
 これについては、カルマの法則に関して解説をする機会にでも、触れようと思うんだ。Yさんのメッセージには、カルマの法則に関する本質的なテーマが、捉えられているからね。」

桃井 「はい。Yさんの言っていることって、実はけっこう多くの人が感じている事じゃないかなと思うんです。」

岩田 「そうだね。それを言葉にして質問出来るというのは、頭が良いし心の率直さを持っていると思う。だからYさんが、その良い要素を育ててくれるような魂の師に出会えることを祈りたいね。」

a-News 2.32



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