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談 話 室

2003.09.19

続・出生時刻談義(出生時刻の正しい定義は?)

岩田 「ところで桃井君は、『出生時刻をどう定義するするんですか?』と聞かれたら、どんな風に答える?」

桃井 「えーっと・・・・。確かにそう質問されると、出産のどの時点を出生時刻とするかについては曖昧にしていたことに気がつきますね。
でも、『母体から出終わった瞬間』とか、『へその緒が切られた瞬間』じゃないかとは思います。」

岩田 「インド宗教では、サマディと呼ばれる呼吸停止の状態に至る高い瞑想状態は、人間のカルマから解放され人間を超越した状態であると考える。
 そうであるなら、逆に人間のカルマを読み取る技法である占星術が、使用しなければならない出生時刻は、その人が呼吸開始によって、今生の人間としてのカルマに制約される瞬間ということになる。

 それから、赤ちゃんの呼吸開始によって腹筋が収縮し、赤ちゃんとへその緒のつながりが閉じられると言うから、呼吸開始の瞬間は母体との絆が断たれ、赤ちゃんが生物的に独立した個体としてスタートする瞬間とも重なることになる。」

桃井 「そのような考えで、みんなが母子手帳に出生時刻を記録しているわけではないでしょうから、母子手帳に分単位で記録された出生時刻でも、占星術的に正確な出生時刻とずれる場合が多いということになりますね。」

岩田 「従って、かなり信頼度が高いと思われる出生時刻であっても、ドヴァダシャームシャより細密な分割図では、アセンダントの位置に関しては慎重に取り扱う必要があるんだ。」

桃井 「それから、呼吸の開始が今生の人間のカルマのスタートと言うのは、昔から呼吸の停止が人間の死、つまり人間としてのカルマの終わりとイコールとして語られていることと合わせて、とても意味の深い見解ですね。」

岩田 「このインド宗教や中国仙道にも共通する見解には、一般的な理解レベルより深遠な意味があるんだ。だから、パタンジャリのヨーガ・スートラなどのヨーガ経典や仙道経典を研究している人は、この呼吸という誰もがおこなっている行為の中に、究極の開運術の根本原理を見いだすことになるかもしれないね。」

2003.08.26

出生時刻談義(出産と開運術)

桃井 「岩田先生、出産の時間を選ぶことによって、生まれてくる子供の運勢を変えるのは可能だと思いますか?」

岩田 「それは時々質問されるテーマだけど、『今生の出生時間とは前生のカルマの投影されたものである』というインド占星術の立場で考えるなら、どういう結論になるか考えてごらん。」

桃井 「はい・・・、もし前生のカルマによって、その人の生まれる瞬間の惑星配置が決定されるなら、出生の時間をコントロールするのは不可能なんじゃないんですか?」

岩田 「そうだね、生まれた時の惑星配置が良いから、その人は運勢が良いという言い方は、天体の惑星配置が原因で、その人の運勢が結果であるかのような印象を与えるけど、前生のカルマによって運勢の良い人は、天体で良い惑星配置が形成される時に出生するというのが、カルマの法則と輪廻転生を前提とするインド占星術の基本的スタンスだ。

 そのスタンスから言えば、桃井君の言うとおりに出生時刻をコントロールするのは不可能ということになる。でも『生まれてくる子供のカルマの範囲内でのみ、出生時刻をコントロールすることは可能である。』というのが、より正確な表現だろうね。」

桃井 「それは占星術を使った開運術で、ある程度まで子供の運勢を改善するのは可能だということですね?」

岩田 「それは、開運術という分野それ自体がインチキでない以上、可能ということになる。
 しかしカルマの法則を無視したようなうまい話は、『その人の生まれ持った功徳を短期間に使い果たさせる危険な開運技法』、『偶然の誤認から発生した間違った思い込みによる、ほとんど無意味な開運技法』、『巧妙な詐欺の手口』のどれかに属するんじゃないかな。

 でもカルマの法則と輪廻転生のメカニズムを考えれば、受胎する瞬間にその子の魂は母体に飛び込んで来るわけだから、このタイミングに開運術を使うなら、受胎する魂に対する選別になる。

 この場合は、生まれてくる子供の運勢はかなり大きく変えることが可能だとは思う。でも、これは運勢の良い子供を『選別』する開運術であって、子供の運勢が改善されるわけではないけどね。」

桃井 「『選別』って、あまりいい印象がしませんね。」

岩田 「もし親が利己的な理由で、運勢の良い子供を『選別』する開運術を使うなら、当然受胎時に飛び込んでくる魂も、運勢が良く利己的な魂になるだろうから、そのような開運術ではたして親子が幸福になるかはたいへん疑問といえる。」

桃井 「エゴによって他におこなった行為は、他がエゴによって自分におこなう行為として返って来るという、典型的なカルマの法則ですね。」

岩田 「だから子供に関して幸福を得る最も確実で強力な開運術は、日々の生活の中で自分と縁深き人々に対して親愛と敬意をもって献身することになるけど、どうしても人はうまい話の方が好きだから、それに付け込む人も世の中に絶えないんだね。

  インド占星術は、高価な宝石や開運術を売る手段としても使えるけど、カルマの法則による輪廻転生という、インド宗教の根本的な宇宙観、そしてそれを超えた解脱という概念、それらに多くの人々を誘うためにあるというのが、羽田先生の考え方だったし、私もその通りだと思う。」

桃井 「岩田先生のよく言われている、東西占星術研究所の基本スタンスですね。」

2003/08/20 (水)

プラシュナ談義

岩田「桃井君、プラシュナって知ってる?」

桃井「言葉だけなら・・。西洋占星術のホラリーと同じで、質問を受けた時間の天体配置で、占う占星術ですよね。」

岩田 「そうだね、プラシュナという占星術がなぜ成立するのかについて、しっかり考察しておくと、占星術が成立する根本的なメカニズムについての洞察が深くなる。」

桃井 「でも東西占星術研究所では、プラシュナの技法をほとんど使っていないんじゃないんですか?」

岩田 「それはプラシュナが、あまりに便利過ぎるから禁じ手にしておかないと、チャートを正確に深く読んでいく技術が身につかなくなるので、出来るだけ使わないようにアドバイスしているからだと思う。」

桃井 「それは、どういうことですか?」

岩田 「桃井君もプラシュナをやってみれば納得すると思うけど、当たるという点ではプラシュナは人を妙に興奮させるような所があるんだね。その点でプラシュナという技法は、タロットやトランプ占いに近いものを持っている。これはプラシュナには、タロット系の占いと同じ原理が入り込んでいるのだから、当然と言えば当然だ。

 そしてネイタル・チャートを読む占星術と、ホラリーやタロット系の占いに必要な能力は、重なる部分もあるけど相反する部分もあるんだ。

 東西は占星術研究所だから、ネイタル・チャートを深く読み込んでいく能力を、最高感度に維持する必要があるので、プラシュナを禁じ手にしているけど、占星術を気軽に楽しむには、プラシュナは大変楽しい技法といえる。」

桃井 「確かに、タロット系の占いをやっている人のチャートは、ネイタル・チャートを読んでいく占星術をやっている人のチャートとずいぶん違った印象があります。」

岩田 「そうだね。両者の特徴は出生図の水星に一番良く現れるけど、パワーの集まる星座やハウスにも特徴がある。
 まあ、街角のインド占星術師としてプロ・デビューするなら、プラシュナは必須の占星術技法だね。だから、そういう目的でインド占星術を学ぶ人には、東西占星術研究所でもプラシュナに関する指導をするだろし、入門的な内容は公開講座でも取り上げようと思ってはいる。」

桃井 「確かに、ノート・パソコンでチャートは作れても、自分の正確な出生時間や出生市町村を、その場の記憶で言える人は多くないでしょうから、プラシュナの技法は必須になりますね。」

岩田 「ところで、『プラシュナ効果』という面白い現象があるので、次の機会にでも話してあげよう。『プラシュナ効果』は、出生データ入力や出生時刻修正でのセキュリティ・ホールの役割をする場合もあるので、桃井君も知っておく必要があるからね。」

桃井 「はい、よろしくお願いします。」

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